中国中部、黄河(こうが)中流部にある峡谷。河南(かなん)省西部の三門峡市と山西(さんせい)省南部の運城(うんじょう)市平陸(へいりく)県の境界に位置する。谷底に堅い閃長玢岩(せんちょうひんがん)からなる岩島が二つ突出しており、この間を流れる水路を北から人門、神門、鬼門とよぶことから三門峡という名称が生まれた。古来、黄河水運最大の難所とされた。戦国時代に編纂(へんさん)されたといわれる『禹貢(うこう)』に底柱(ていちゅう)の名で記載されている岩礁は岩島のすぐ下流にあり、三門峡全体を底柱(砥柱(しちゅう))とよぶこともあった。1957年、黄河治水の一環として、この岩島を利用して貯水能力約400億トンの三門峡ダムが着工され、1960年基本工事が完成した。その後、黄河の泥によるダム湖の埋積速度が設計を上回ったため、排砂能力を高める改造工事が行われ、水力発電も出力25万キロワットに抑えている。
三門峡市(地級市)はこの電力を利用する工業都市である。2市轄区、澠池(めんち)など2県を管轄し、2県級市の管轄代行を行う(2017年時点)。人口224万0700(2017)。金、ボーキサイト、石炭など地下資源が豊富。隴海(ろうかい)線、鄭西高速鉄道(鄭州(ていしゅう)―西安(せいあん))が通じる。古くから中原(ちゅうげん)と関中(かんちゅう)とを結ぶ交通の要衝であり、管轄下の澠池県から潼関(とうかん)県へとつながる崤函古道(こうかんこどう)は2014年、「シルク・ロード:長安‐天山(てんざん)回廊の交易路網」の構成資産として、世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[河野通博・編集部 2017年12月12日]
中国,河南・山西両省の境にある,黄河中流部の峡谷。川の中央に神島・鬼島の両岩島があり,北より人門半島が突出,狭い峡谷がさらに狭い人門・神門・鬼門の3本の水路に分かれているため,古来黄河舟運の難所として知られた。特に南コースの鬼門は最も危険で,唐代には人門半島に開元新河という運河を掘り,漕運を可能にした。現在ここに三門峡ダムの堰堤を建設,黄河の水量を調節している。すぐ下流に砥柱と呼ばれる岩礁があり,これも〈禹貢〉に記載がある。
執筆者:河野 通博
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「サンメン(三門)峡」のページをご覧ください。
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…黄河南部の山地は秦嶺山脈の余波が東方に延びたもので,南西から北東に向かう崤山(こうざん)・熊耳(ゆうじ)・外方(がいほう)の諸山脈,北西から南東に向かう伏牛山脈などからなり,平均標高は1000m以上。このうち崤山山脈は黄河南岸の陝県と澠池(べんち)県との間で三門峡を越え,対岸の中条山脈と接し,熊耳山脈の東部では1440mの嵩山(すうざん)が高くそびえ立つ。伏牛,外方の両山脈は黄河と淮河(わいが)との分水嶺をなし,伏牛山脈の南東部はさらに淮河と唐河・白河とを隔てている。…
…黄土層の厚さは10m以上30mを超えるところもあるが,無数の渓谷に切断されて平地は少なく,ことに西部は省内でも水土の流失がもっとも激しい地域である。 つぎに黄河は陝西省との間の断層谷を通過するとき,呂梁山脈の南西端で壺口や竜門の急流となり,東に方向を転ずると,河南省との間にかつては三門峡の険所をつくっていた。しかし,三門峡には1960年ダムが完成し,河南省側に大型水利センターが建設された。…
※「三門峡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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