上野原村(読み)うえのはらむら

日本歴史地名大系 「上野原村」の解説

上野原村
うえのはらむら

[現在地名]上野原町上野原

現町域の南東端、桂川北岸の段丘上に位置し、東はさかい川、西はつる(いずれも桂川の支流)に画される。東方は境川を境に相模国に接している国境の村で、甲州道中宿場が設けられ、枝郷諏訪すわ村には代官支配の口留番所が置かれていた。「甲斐国志」によると村の四方が岸高く、岸上の広原にあるので上野原と称したという。元禄郷帳は枝郷として諏訪・羽佐間はさま奈須部なすぶ西原にしばら矢米やごめ(八米)の五ヵ村をあげ、同じく「甲斐国志」は本町ほんまち新町しんまち・諏訪・西原向風むかぜ・八米・先祖せんぞをあげている。文化三年(一八〇六)の村明細帳(甲斐国志編纂資料)によると本町組・新町組・西シ原組・向風組の四組に分れていて(うち本町組・新町組が宿方、残りは在方)、それぞれに名主がいたといい、天保三年(一八三二)の村高七通順列諸留(増田広実氏所蔵文書)でも名主・組頭・百姓代は四名ずつが置かれていたとする。甲相をつなぐ交通の要所として古くから栄えていたが、近世には上野原宿が設けられ、その地位を確かなものとし、一八世紀後半からは六斎市も開かれ、都留郡北部における基点の一として発展した。

〔中世〕

当地はかつて武蔵七党横山氏から出た古郡氏(古郡別当大夫を称した忠重を祖とする)の支配下にあったとされている(「古郡氏系図」古郡哲爾家文書)。しかし同氏は建暦三年(一二一三)和田義盛の乱の際、古郡左衛門尉保忠兄弟が和田側にくみして自害し、同氏旧領の甲斐国「古郡」の地は加藤兵衛尉に与えられている(「吾妻鏡」建保元年五月三日・四日・七日条)。ここにみえる古郡ふるごおりとは当地一帯のことと推定されるが、現在の都留市古川渡ふるかわど付近に比定する説もある。しかし地内の諏訪神社が古郡神社ともよばれていること、同じく地内にある牛倉うしくら神社の慶長六年(一六〇一)棟札(写、「甲斐国志草稿」)には「都留郡之東古郡上野原村当所之鎮守大宮牛倉大明神」と記されていることなどから古郡は当地と考えるのが今のところ有力である。


上野原村
うえのはらむら

[現在地名]館山市上野原

北条ほうじよう村の東に続く館山平野の第四砂丘列上に形成されている村。近世を通じて同村の枝郷で、寛永一六年(一六三九)に枝郷として分郷したとされる(安房国町村誌)。享保一二年(一七二七)の安房国村々助郷請帳(岩崎家文書)では高一八九石余、北条藩領。天保村高帳では鶴牧藩領。天保一四年(一八四三)の忍藩領郷村高帳に村名がみえ、武蔵忍藩領。房陽郡郷考でも同藩領で、戸数一七。嘉永七年(一八五四)の岡山藩房総預地村高帳(池田家文庫)では備前岡山藩領。旧高旧領取調帳によると幕末には近江三上藩領で、ほかに北朝夷きたあさい(現千倉町)円蔵えんぞう院領高一石余・北条村金台こんたい寺領高一石余。


上野原村
かみのはらむら

[現在地名]五和町上野原

井手いで村の南に位置する内陸部の小村。内野うちの川と東から流れ込む打越うちこし川に囲まれ、東は山地、西に平地が見られる。正保郷帳に村名がみえ、高三八一石四斗余とある。井手組に属し、庄屋は鶴田家。万治二年(一六五九)石高半減により一九七石九斗余となった(天草風土考)。「国志草稿」に竈数三七・男女数二九九とある。文政(一八一八―三〇)頃は高一九九石三斗余(うち新田畑一〇石三斗余)、家数八九・人数三五九、氏神は八幡宮(島鏡)


上野原村
うえのはらむら

[現在地名]清水市追分おいわけ四丁目など

入江いりえ町・元追分もとおいわけ村の西にあり、西・南は有東坂うとうざか村。地内を東海道が通るが、当村は入江町の持添で人家はなく、往還長三町ほどはすべて並木であった。江戸時代の領主の変遷は清水町に同じ。元和六年(一六二〇)清水船手奉行屋敷が地内片羽かたはに設けられたが、同奉行は元禄九年(一六九六)に廃止(清水湊旧記)


上野原村
うえのはらむら

[現在地名]三条市上野原

柳沢やなぎさわ村の南、丘陵沿い西側にあり、南は東大崎ひがしおおさき村と接し、中央を往来道が通じる。三条町往古役之事(北方文化博物館蔵)によると当村は寛永六年(一六二九)に開発され、草分庄屋は喜兵衛(関谷氏)とある。正保国絵図には「上ノ原村」と記され、幕府領。慶安二年(一六四九)以降は村上藩領で、貞享元年(一六八四)郷村高辻帳では二〇八石六升余。丘陵沿いに村を南北に通る道は、宝暦一一年(一七六一)の御巡見様御案内帳(高橋幹芳氏文書)に「御通村道六丁弐拾四間」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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