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世界法 せかいほうworld law

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

世界法
せかいほう
world law

歴史上,世界的な規模をもった国家,たとえばローマ帝国や古代中国などにおける法。特にローマの万民法は,その普遍的性格のゆえに世界法と呼ばれた。また今日の国際社会は,少くとも経済面では普遍的な人類社会が形成され,そこには諸国民に共通する統一法が存在する。たとえば手形小切手工業所有権などに関して一般条約が結ばれ,多くの国が同一内容の国内法を制定しており,この種の統一法が世界法と呼ばれる。しかし,今日世界法という言葉が最もよく用いられるのは,世界政府構想の関連においてである。第2次世界大戦後に世界政府あるいは世界連邦を目指す運動が起り,この世界政府運動にたずさわる人々は,なんらかの形で超国家的な政府機構の建設を構想し,この機構と結びついた法を世界法と呼んでいる。

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百科事典マイペディアの解説

世界法【せかいほう】

田中耕太郎などによって提唱された概念。全世界を国家,民族等を越えた一つの社会と考え,〈社会のあるところ,法あり〉の立場から,理論上必然に存在すると考えられる法。

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世界大百科事典 第2版の解説

せかいほう【世界法】

〈世界法Weltrecht〉という名称は1888年にボン大学教授ツィーテルマンErnst Zitelmann(1852‐1923)が行った〈世界法の可能性Die Möglichkeit eines Weltrechts〉と題する講演に由来する。ツィーテルマンおよび彼の後継者クラインPeter Kleinが論じた世界法とは国際的に統一された内容をもつ私法のことである。日本の代表的商法学者の一人でありカトリック自然法論の唱道者でもある田中耕太郎はその大著《世界法の理論》(全3巻,1932‐34)と《続世界法の理論》(全2巻,1972)において,独自の世界法論を展開したが,彼の世界法概念は普遍人類共同体としての世界社会を規律するいっさいの法を意味し,いわゆる〈統一法〉だけでなく,法の抵触や国籍の抵触を処理する国際私法,さらに国際法をも含む。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

世界法
せかいほう

特定の国民や地域を支配する法に対して、全世界、全人類を支配する法をさす。その意味では一般国際法が世界法にあたるが、通常はそのように用いられることはない。世界法ということばは、ドイツの法学者ツィーテルマンの主張を受けて、田中耕太郎が唱え始めたものである。人間性や法技術の普遍性および国際関係の緊密化から、文明諸国の法がだんだん共通なものとなっていく傾向に着目して、その共通の内容をもつ法を世界法と名づけた。その背景には自然法思想があり、未来における法による世界統一の理想がある。手形法条約、海法関係の諸条約など、条約によって各国国内法を統一する(統一法)動きは、それへの第一歩と考えられる。[長尾龍一]

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世界大百科事典内の世界法の言及

【国際法】より

…また,今日では,国際連合などの国際機構の発達により,国際法の定立,執行の面である種の組織的基盤が与えられるようになってきている。 なお,国際法に類似した,あるいは関連した用語として〈国際私法〉と〈世界法〉がある。国際私法は,国内裁判所などにおいて,特定の渉外的事件に対してどの国(あるいは地域)の法律を適用すべきかが争われた場合に,その準拠法を決定するための規定をもつ法のことで,基本的には国内法(日本の場合は,1898年公布の〈法例〉)であって,国際法ではない。…

※「世界法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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