(1)株式会社における中間配当 年に1回の決算を行う株式会社で,営業年度の中途で,株主に対し金銭の分配をすること,およびその配当を中間配当という。中間配当は,定款で年1回に限り,一定の日を定め,その日における株主に対し,取締役会の決議により,行うことができる(商法293条ノ5-1項)。たとえば,営業年度が4月1日から翌年3月31日までとする会社であれば,9月30日現在における株主名簿上の株主に対して中間配当をする旨を定款で定めていることが多い。かつて日本では年2回決算をする会社が多く,したがって利益配当も年2回行われていた。しかし,1974年の商法改正により,1年決算に移行する会社が多くなり(現在ではほとんどが年1回決算会社である),それに伴って利益配当も年1回になると,株主から不満が出ることが予想されたので,同改正で中間配当の制度を認めることにしたのである。上場会社についていえば,大半の会社が中間配当を行っている。
中間配当は,通常の利益配当と異なり,決算をして計算書類につき株主総会の承認を経て行われるものではないから,法律的には利益配当ではなく,期中における金銭の分配である。しかし,経済的には利益配当に類似し,実際にも,利益配当と同様に扱ってよいところもあるので,利益配当についての規定の準用も少なくない(商法293条ノ5-6項)。
中間配当は決算をしないですることができるので,資本の充実を害しないように厳重な要件が定められ,取締役に重い責任が課されている。すなわち,中間配当の直前の決算期における配当可能限度から,その定時総会で利益から支払うことにした配当金や重役賞与金の額,利益から資本に組み入れた額,中間配当に際して積み立てなければならない利益準備金の額,さらに取締役・使用人に譲渡するためまたは株式消却のために定時総会で定めた自己株式の取得価額の総額を差し引いた残額が中間配当の限度額である。この限度額内であっても,その期になって業績が悪化して期末の決算で欠損が出るようなときは,取締役は,中間配当を定めたとき欠損になるおそれがないと認めたことについて,無過失の立証をしなければ損害賠償責任を負わねばならない。
→配当
(2)破産手続における中間配当 破産手続において,破産財団に所属する全財産が換価される前に,適当な金銭があるごとに債務者に対して行われる配当も中間配当といわれる(破産法256条)。
執筆者:田村 諄之輔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
会社が出資者に対して利益配当を行うには、決算を確定しなければならないが、決算期到来の前に見込みによって期中に配当することをいう。株式会社は一営業年度の途中いつでも、つまり何回でも、株主総会の決議により中間配当を行うことができる。実際には、期央に1回が普通である。このような中間配当は、会社の中間決算手続を省略する目的で制度化されたが、乱用されて会社の資本充実が害されることのないよう、厳重な制限がつけられている。すなわち、会社が支払うことのできる中間配当金額(配当可能額)は、前期に確定している貸借対照表上の純資産額から会社法461条2項に定めた自己株式など4種の金額を控除した額を限度とし、しかもこの中間配当金額の10分の1を準備金として積み立てなければならない。配当される金銭を中間配当金という。
[森本三男]
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…配当金は,会社の事務処理上,5年とか3年の経過で会社が支払義務を免れる旨定款で定めているのが普通であるが,このような定めは不当に短いものでなければ有効と一般に解されている。【田村 諄之輔】
[株式配当,中間配当]
利益配当は金銭によるのが建前であるが,株式をもってする配当も認められている。これを株式配当(株配)といい,配当の全部または一部を資本に組み入れて新株を発行して株主に分け与えるものである。…
…(4)終結――(a)配当 一方で配当にあてられる金銭が得られ,他方で配当を受けることのできる破産債権者が確定すると,配当が行われる。破産管財人は,一般の債権調査終了後は,配当にあてるべき金銭が得られるごとに随時配当を実施する(中間配当――256,257条)。配当は,配当表を作成して公告し,配当表に対する異議の除斥期間を経た後に実施する。…
※「中間配当」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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