井上 愛子(読み)イノウエ アイコ

新撰 芸能人物事典 明治~平成「井上 愛子」の解説

井上 愛子
イノウエ アイコ


職業
日本舞踊

専門
京舞

肩書
井上流家元(4代目) 重要無形文化財保持者(京舞)〔昭和30年〕,日本芸術院会員〔昭和32年〕

本名
片山 愛子(カタヤマ アイコ)

別名
前名=井上 八千代(4代目)(イノウエ ヤチヨ)

生年月日
明治38年 5月14日

出生地
京都府 京都市祇園

学歴
弥生小〔大正6年〕卒

経歴
明治41年3歳の時に3代目井上八千代に入門。43年初舞台。大正8年内弟子から養女となる。同年京舞井上流の名取となり、井上愛子を名乗る。13年八坂女紅場学園(芸妓養成所)舞踊科教師。昭和6年3代目の孫で能楽師の片山博通と結婚。13年3代目の死去により家元代理となり、14年「都をどり」芸能面の責任者。22年4代目を襲名。幼い頃から天才として評判で、たゆまぬ稽古により京舞井上流の古格を正確に伝承。能や歌舞伎などの様式を取り入れ一点一画のゆるぎをみせぬ所作の中に、足先や目線の微妙や動きで心の動きを表現し、最晩年に至っても高い品格とえもいわれぬ色気を持つ、深い味わいのある舞を披露した。28年井上流京舞の会を東京で実現。また、25年太平洋戦争で一時中断されていた“都をどり”が再開すると家元の立場で振付けや指導を行い、旧知の谷崎潤一郎や吉井勇らに脚本を書いてもらうなど、京都の春を代表する行事に育て上げた。30年人間国宝に認定され、32年日本芸術院会員。平成2年文化勲章を受章。日本舞踊協会副会長も務めた。12年95歳の誕生日に孫の井上三千代に5代目と家元を譲り、再び井上愛子を名乗った。代表作に「長刀八島」「信乃」「山姥」「葵の上」「鉄輪」「海士」「関寺小町」「虫の音」「七福神」などがあり、地歌「鳥辺山」、義太夫「翁」などの振付けを残した。著書に「井上八千代芸話」がある。

所属団体
日本舞踊協会

受賞
日本芸術院賞(昭26年度)〔昭和27年〕,文化功労者〔昭和50年〕 勲三等宝冠章〔昭和51年〕,文化勲章〔平成2年〕 芸術祭賞〔昭和28年〕「雪まろげ」,NHK放送文化賞〔昭和46年〕,花柳寿応賞〔昭和60年〕,関西大賞(第3回)〔昭和63年〕

没年月日
平成16年 3月19日 (2004年)

家族
養母=井上 八千代(井上流3代目家元),夫=片山 博通(観世流シテ方),長男=片山 九郎右衛門(9代目)(観世流シテ方),二男=片山 慶次郎(観世流),三男=杉浦 元三郎(観世流),孫=井上 八千代(井上流5代目家元),片山 清司(能楽師)

伝記
ぜんぶ芸のはなし―名人上手十八話心に残る人々京・祇園―幽玄なる伝統美の世界姿―井上八千代 京舞井上流四世・友枝喜久夫 喜多流能楽師ダンスの誘惑日本の舞踊喝采―いま輝く明治・大正の女たち京舞妓(KYŌ MAIKO) 織田 紘二,中嶋 典夫 編著白洲 正子 著小原 源一郎 文,板倉 有士郎 写真吉越 立雄 撮影,白洲 正子,渡辺 保 文土屋 恵一郎 著渡辺 保 著並木 きょう子 著浜岡 昇 撮影(発行元 淡交社講談社日本地域社会研究所求竜堂青土社岩波書店オリジン社,主婦の友社〔発売〕京都書院 ’05’96’94’93’92’91’88’87発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

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