井之口村(読み)いのくちむら

日本歴史地名大系 「井之口村」の解説

井之口村
いのくちむら

[現在地名]上浦町井ノ口

現上浦町の中央に位置する。東は海に臨み、西は山を負い、南は甘崎あまざき村に連なり、北はさかり村に接する。平地広く、さと森側もりがわ院主いんじゆぼう古戸ふると好味こうみなど、多くの集落がある。村の中央を天井川の本川が流れている。

慶安元年伊予国知行高郷村数帳(一六四八)越智郡の項に「井ノ口村 芝山有、林少有」とみえ、村高は八二一石三升で、大三島のうちで最も大きい。享保末年の「越智島旧記」によると、田畑面積は、田四三町八反三畝、畑七八町八畝、ほかに新田畑として、田七町七反一畝二歩、畑二反七畝一八歩があり、新田開発の進んだことを物語っている。家数は二八四軒、うち御水主定家数二八軒、御百姓家二一八軒、無給家二〇軒、隠居家一八軒、人数は一千三八三人である。


井之口村
いのくちむら

[現在地名]稲沢市井之口町・井之口〈大坪おおつぼ町・大宮おおみや町・おき町・親畑おやばた町・かき町・北畑きたばた町・小番戸こばんど町・鶴田つるでん町・白山はくさん町・ほん町・四家よつや町〉・ひし

南は日下部くさかべ村・奥田おくだ村に接し、村の南境を美濃路、東境を岐阜街道が通り、本郷は村の中央やや南東にあり、西にしきり・北ノ切・東ノ切・南ノ切に分れ、支郷は八軒屋はちけんや四屋よつやがある。四屋は出町でうどんが名物で、美濃路と岐阜街道の追分にあたり、文政二年(一八一九)の道標に「左、京都道、右、ぎふ道」とあり、現在六角堂ろつかくどう町の長光ちようこう寺山門前に移されている。


井之口村
いのくちむら

[現在地名]高月町井口いのくち

横山よこやま村の東、高時たかとき川右岸平地に立地。横山村との境を北国街道、集落内を北国脇往還が南北に通る。井口・井ノ口とも書かれる。村名は井水の口に位置したことに由来。近年まで条里遺構がみられ、つぼしちつぼつぼなど坪地名が残る。古墳時代後期から鎌倉時代初期にかけての集落跡の井口遺跡があり、竪穴住居跡一〇七棟・掘立柱建物跡五五棟以上・条里溝・土壙墓・火葬墓などが残る。

中世は富永とみなが庄に含まれ、同庄鎮守社の山王社(現日吉神社)があり、富永庄にかかわる多数の文書を伝える。同文書によれば、「井口殿」と称された土豪が活躍、永禄一二年(一五六九)の富永庄所務帳(井口日吉神社文書)では、公事米一四〇文・大豆三斗三升余などを井口郷の孫右衛門尉・清兵衛尉が納めている。


井之口村
いのぐちむら

[現在地名]今津町福岡ふくおか

石田いしだ川左岸、西はかまえ村、北東は中町なかのまち村。天正一一年(一五八三)八月の杉原家次知行目録(浅野家文書)に井口とあり、高二二六石余。寛永石高帳に井ノ口村とあり、高三一三石余、うち一八七石余は幕府領、一二六石余は旗本佐久間領となっている。慶安高辻帳では幕府領は田方一一六石余・畑方九石余、永荒六一石余、佐久間領は田方一一八石余・畑方七石余。


井之口村
いのくちむら

[現在地名]加古川上荘町井かみそうちよういくち

見土呂みどろ村の北、加古川北西岸に位置する。村域の南部を姫路へ至る道が東西に通じる。対岸国包くにかね村との間に船渡しがある。井口村・井ノ口村とも記す。慶長国絵図に井ノ口とあり、その北東に「堀内」、北西に「井坂村」が記される。正保郷帳によれば田方二三六石余・畑方五五石余、ほかに日光寺(現常楽寺)若王子(現上之荘神社)領高一五石。天保郷帳では都染つぞめと肩書されて村名がみえ、高三七三石余。上之荘かみのそう神社は江戸時代には若一王子わかいちおうじ大権現・若王子ともよばれ、御面掛と称する能が催されていた。石造の鳥居は寛延三年(一七五〇)社殿を新築した際に、国包村出身の大坂長浜屋が寄進したという(増訂印南郡誌)


井之口村
いのくちむら

[現在地名]額田町夏山なつやま

おと川支流の夏山川沿いに集落が立地。柿平かきひら村を親村として分村独立する。中世、男川おとがわ庄に属し、天文年間(一五三二―五五)末期、夏山郷が奥平氏領の際に郷内を柿平・殿井戸とのいど平針ひらばり寺野てらの鬼沢おにざわ寺脇てらわきの六小村に分割している(奥平氏家譜)から、殿井戸が当村に該当すると考えられる。慶長九年(一六〇四)青木勘右衛門奉行による検地では夏山村の内である。夏山村が分郷独立した後の寛永郷帳では柿平村を、二一一石余は刈谷藩領、二七石余を松平行隆知行所支配としており、この二七石余が当村のことである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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