正式名称は「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」。平成12年法律第68号。2000年(平成12)5月公布、11月施行。高齢者、身体障害者等の自立した日常生活、社会生活を確保することの重要性が増大したことから、公共交通機関の旅客施設・車両等の構造、設備を改善するための措置、一定地区における道路その他の施設の整備を推進するための措置などを講ずることで、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性、安全性の向上の促進を図ることを目的としている。
バリアフリーの範囲を公共の交通機関だけでなく、駅などの施設や駅前広場、周辺道路にまで広げたことに特徴がある。各省庁にまたがっていたバリアフリー対策を一本化したという点でも評価できよう。また、従来のハートビル法(「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」)などでは努力義務にとどまっていたバリアフリー化が、民間事業者にも義務づけられることになる。鉄道、バス、航空会社が駅やターミナルを新設、改修する際にはエレベーター、エスカレーターの設置が義務づけられ、バスは乗降が楽な低床式にし、車内や機内には車いす用のスペースがなければならない。
その後、2006年に、交通バリアフリー法とハートビル法は統合され、バリアフリー新法(「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」)が成立、施行された。バリアフリー新法の施行に伴い、交通バリアフリー法は2006年12月に廃止された。
[高三啓輔]
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