仁田勇(読み)ニッタ イサム

20世紀日本人名事典 「仁田勇」の解説

仁田 勇
ニッタ イサム

大正・昭和期の化学者 大阪大学名誉教授。



生年
明治32(1899)年10月19日

没年
昭和59(1984)年1月16日

出生地
東京・小石川

学歴〔年〕
東京帝大理学部化学科〔大正12年〕卒

学位〔年〕
理学博士〔昭和5年〕

主な受賞名〔年〕
日本化学会桜井褒章〔昭和14年〕,帝国学士院賞〔昭和18年〕,藤原賞〔昭和40年〕「有機化合物結晶化学」,朝日文化賞〔昭和40年〕,文化功労者〔昭和41年〕,文化勲章〔昭和41年〕,関西学院名誉博士〔昭和43年〕,勲一等瑞宝章〔昭和46年〕,高分子学会功労賞

経歴
大正12年理科学研究所所員、昭和3年フランス、オランダ、ドイツに留学。6年東京帝国大学講師、8年理学部教授、17年同部長を経て、産業科学研究所、35年名誉教授。36年から関西学院大理学部の初代学部長を務めた。43年退職。41〜45年関西学院理事。日本結晶学会、日本化学会各会長、日本物理学会、日本高分子学会各名誉会員など学会でも活動。有機化合物の結晶構造を突きとめるためエックス線解析をわが国で最初に利用した一人。またフグ毒テトロドトキシン分子構造を解明するなど、わが国結晶化学の先駆者として知られる。亡くなる寸前キリスト教の洗礼を受けた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「仁田勇」の意味・わかりやすい解説

仁田勇
にったいさむ
(1899―1984)

化学者。仁田直(にったすなお)(1874―1936)(東京帝国大学農学部教授)の長男として東京に生まれる。第一高等学校を経て東京帝国大学理学部化学科卒業(1922)、同年理化学研究所物理部西川正治(しょうじ)研究室に入り、X線による有機化合物結晶の構造解析を開始、ペンタエリスリトール結晶の中心炭素原子は四面体をなすと発表(1926)、ピラミッド型とするワイセンベルクらの説と対立したが、1928年(昭和3)に仁田説が認められた。さらに、二次元的フーリエ級数法による結晶解析を行い、中心炭素原子が正四面体をなすことを確証、このとき分子間水素結合の形成を発見(1937~1938)。新設の大阪帝国大学理学部教授(1933~1960)、関西(かんせい)学院大学教授(1960~1968)を務め、構造化学、分子間力、固体の転移現象の研究など新分野を開拓し多数の研究者を育てた。化学の分野にX線解析法を導入した功績は大きい。著書に『分子構造論』(1936)、『X線結晶学』(1959~1961)、自伝『流れの中に』(1973)がある。1943年帝国学士院賞、1966年(昭和41)文化勲章を受章した。

[道家達將]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仁田勇」の意味・わかりやすい解説

仁田勇
にったいさむ

[生]1899.10.19. 東京
[没]1984.1.16. 大阪
結晶化学者。東京帝国大学化学科卒業 (1923) と同時に理化学研究所の西川研究室に入り,X線による有機化合物の結晶構造解析の研究に着手し,これが生涯の研究テーマとなった。大阪大学教授 (33~60) ,関西学院大学教授 (60~68) 。「化学構造のX線的研究」で 1943年には帝国学士院賞,64年京都で開かれた国際天然物化学会議で,フグ毒テトロドトキシンの分子構造を発表し,64年朝日賞,66年文化勲章を受ける。自伝『流れの中に──一科学者の回想』 (73) がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「仁田勇」の解説

仁田勇 にった-いさむ

1899-1984 大正-昭和時代の化学者。
明治32年10月19日生まれ。大正12年理化学研究所にはいり,昭和8年大阪帝大教授,のち関西学院大教授。X線による有機化合物の構造解析をすすめ,フグ毒の構造を決定した。18年学士院賞,41年文化勲章。昭和59年1月16日死去。84歳。東京出身。東京帝大卒。自伝に「流れの中に」。

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367日誕生日大事典 「仁田勇」の解説

仁田 勇 (にった いさむ)

生年月日:1899年10月19日
大正時代;昭和時代の化学者。東京帝国大学教授;日本化学会会長
1984年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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