仏山(読み)ぶつざん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「仏山」の意味・わかりやすい解説

仏山
ぶつざん / フォーシャン

中国、広東(カントン)省中部の地級市。省都広州(こうしゅう)の南西に隣接し、三水(さんすい)区、禅城(ぜんじょう)区、高明(こうめい)区など5市轄区を管轄する(2016年時点)。略称は禅。人口385万6100(2014)。

 かつて湖北(こほく)省の漢口鎮(かんこうちん)、江西(こうせい)省の景徳鎮(けいとくちん)、河南(かなん)省の朱仙鎮(しゅせんちん)とともに四大鎮の一つとして知られた商工業都市である。現在は省内の絹織物工業の中心地で、石湾鎮(せきわんちん)の陶器をはじめ剪紙(せんし)(切紙)、飾り提灯(ちょうちん)、線香、年画(吉祥(きちじょう)画)などの手工芸が盛んである。また、広州の衛星都市として鉄鋼、化学、機械などの工業も発達している。日本からもデンソー、豊田自動織機をはじめとする自動車部品メーカーが多数進出しており、広州を中心とする経済圏の重要拠点となっている。交通は広三線(広州―三水)で広州と結ばれ、バスおよび水運では珠江(しゅこう)デルタの中心的役割を占める。

 市内には北宋(ほくそう)時代に創建された祖廟(そびょう)がある。また、伝統劇である粤劇(えつげき)発祥の地でもある。

[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年1月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「仏山」の意味・わかりやすい解説

仏山 (ふつざん)
Fó shān

中国南部,広東省珠江三角州の北部,広三鉄道沿線の商工業都市。人口77万(2000)。古く唐・宋代より南海貿易の繁栄により発達していたが,とくに明代以降,家内工業の発達と仙山祖廟を中心とする道教信仰の隆盛に伴って,製糸,染色,織物業,鉄器製造や紙,爆竹,線香などの手工業が盛んとなり,めざましい発展をとげた。仏山祖廟は北宋の元豊年間(1078-85)に建立され,1372年(明の洪武5)に重修された。前殿,正殿,慶真楼,錦香池,万福台が現存する。清代には夏口(漢口),朱仙,景徳とならんで四大鎮の一つと称せられるにいたった。元来広州府南海県に属する鎮であるが,広東八府の要道にあたる大鎮に発達すると,清朝は海防捕務同治の官署まで設け,民国時代には南海県治が広州城内からここに移された。しかし,道教信仰の衰退と市内を流れる河川が土砂の埋積により通航できなくなると,商工業ともに衰微した。1950年に市が設置され,広州市の衛星都市として農村の復興に伴い再び商業が活発となり,絹織物,化学,電子,食品などの工業が発達した。また伝統工芸品には,香雲紗と呼ばれる絹織物や剪紙,陶磁器が有名である。陶磁器は南西6kmにある石湾が中心で,古くより広窯の名で知られる。日用の生活陶磁器のほか,人形やタイル,さらに工業用陶器の生産も行われる。
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百科事典マイペディア 「仏山」の意味・わかりやすい解説

仏山【ぶつざん】

中国,広東省広州の南西,珠江デルタ上にある都市。もとは南海県所属の鎮(町)だったが,1950年市に昇格した。清代には漢口・景徳・朱仙とともに四大鎮の一つと称された。広三鉄路で広州と結ばれ,珠江水運の要地。生糸,絹織物,染織,製紙,刃物,陶器など伝統工業が盛ん。379万人(2014)。
→関連項目経済特区

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