高明(読み)コウメイ

デジタル大辞泉 「高明」の意味・読み・例文・類語

こう‐めい〔カウ‐〕【高明】

[名・形動]
地位が高く勢力があること。富貴なこと。また、そのさま。
学識に優れていること。また、そのさま。
「―の諸君子」〈中村正直明六雑誌三〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「高明」の意味・読み・例文・類語

こう‐めいカウ‥【高明】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 )
    1. 位置が高く、明るいこと。また、そのさま。地位が高く勢力があることなどについていう。
      1. [初出の実例]「高明とは、位権ありて、人のひいきおほくして、不善あれども、あらはれがたく、罰のをよびがたきものなり」(出典:寸鉄録(1606))
      2. [その他の文献]〔書経‐洪範〕
    2. 考え、行動、性格などが立派ですぐれていること。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「自然に高明の名あり」(出典:清原国賢書写本荘子抄(1530)五)
      2. 「唐裴相国、白楽天〈略〉皆高明博学之士也」(出典:童子問(1707)下)
      3. [その他の文献]〔荘子‐天運〕
    3. 立派ですぐれた見識、考え。
      1. [初出の実例]「愚管も種々存じ廻らし候に、とかく快からぬ事に候と存候故に決しがたく、高明を仰ぎたる事に候」(出典:白石先生手簡(1725頃)三)
    4. 富貴なこと。
  2. [ 2 ] 中国、元末・明初の詩人劇作家。字(あざな)は則誠。浙江瑞安の人。官は、元で処州録事。晩年、明の太祖に招かれたが病を得て辞す。著に、戯曲琵琶記」、詩文集「柔克斎集」がある。(一三一〇頃‐八〇頃

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普及版 字通 「高明」の読み・字形・画数・意味

【高明】こう(かう)めい

神の臨む場所楼観。〔礼記月令〕(仲夏の月)是のや、火を南方に用ふること毋(なか)れ。以て高に居るべく、以てく眺すべく、以て山陵に升るべく、以て臺に處(を)るべし。

字通「高」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高明」の意味・わかりやすい解説

高明
こうめい
(1305?―80?)

中国の元(げん)末明(みん)初の詩人、劇作家。瑞安(ずいあん)県(浙江(せっこう)省)の人。字(あざな)は則誠(そくせい)、号は東嘉(とうか)。1345年(元の至正5)の進士。いくつかの地方官を歴任したのち、56年に引退して鄞(ぎん)県(浙江省)の櫟社(れきしゃ)の沈(しん)氏のところに寄寓(きぐう)し、戯曲『琵琶記(びわき)』を執筆するなど、文筆生活を送った。明の建国後、太祖朱元璋(しゅげんしょう)に招かれたが、老齢病身を理由に辞退し、寧海(ねいかい)県(浙江省)で没した。『柔克斎詩輯(じゅうこくさいししゅう)』1巻がある。

[佐藤 保]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高明」の意味・わかりやすい解説

高明
こうめい
Gao Ming

中国,元末明初の劇作家。温州 (浙江省瑞安県) の人。字,則誠。幼少から才名が高く,至正5 (1345) 年進士に及第,処州録事となって善政をしいた。その後地方の官を歴任したが,やがて辞して寧波 (浙江省) の櫟社 (れきしゃ) の沈氏のもとにとどまり,元末の争乱を避けつつ詞曲を楽しみ,中国古典劇屈指の傑作琵琶記』を著わした。のち明になって洪武帝に招かれたが老齢を理由に応ぜず,郷里に帰って死んだ。詩書詞曲すべてに巧みであったが,詩集などは失われ,現存するのは『琵琶記』のみ。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「高明」の解説

高明 こうみょう

?-? 平安時代中期の僧。
天台宗。播磨(はりま)(兵庫県)円教寺の性空(しょうくう)(910-1007)にまなび,のち筑前(ちくぜん)(福岡県)太宰府(だざいふ)の大山寺にはいる。博多に橋をつくるなど,社会事業にもつくした。

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世界大百科事典(旧版)内の高明の言及

【戯文】より

…また元の雑劇の作者が一般に社会的地位の低かったのに比べて,明代では著名な読書人が戯文を書くようになり,戯曲文学の地位が向上した。その契機を作ったのは,元末・明初の文人高明である。高明は至正年間(1341‐68)の進士であり,詩人としても知られていたが,後漢の蔡邕(さいよう)を主人公とする《琵琶記》を書いた。…

【中国演劇】より

雑劇
[文人による才子佳人劇]
 14世紀中ごろより,ようやく従来の面目を一新し活力を得てきたのが,宋以来南方の地に行われていた〈南戯〉(〈戯文〉ともいい,のちには〈伝奇〉といった)であった。元末・明初のころには,高明によって名作《琵琶記》が書かれ,ほぼ同時期には《荆釵(けいさ)記》《白兎(はくと)記》《幽閨記》《殺狗記》のいわゆる〈四大作〉が出て,にわかに脚光を浴びるようになり,雑劇にかわって主座の地位をしめるにいたった。南戯は雑劇に比べて制約の枠がずっとゆるやかで,〈折〉に相当する〈齣(せき)〉の数には制限がなく,多くは30齣から40齣,あるいは50齣をこえるものもある。…

【伝奇】より

…歌唱担当の俳優は複数化し,筋も複雑化し,一編の長さが50齣(せき)に及ぶものさえ出現した。元末に高明(1310‐80)が《琵琶記》を創作してから確立し,明初に朱権の《荆釵記(けいさき)》,施君美の《拝月亭》,明末に王世貞の《鳴鳳記》,湯顕祖の《還魂記》《邯鄲記》《紫釵記》《南柯記》等に至って最高潮に達し,北方にも広まった。【内山 知也】。…

【琵琶記】より

…南方系の楽曲による戯文。作者高明は文人としても著名。後漢の蔡邕(さいよう)の出世と栄華な生活に,故郷に残された両親や妻の趙五娘の苦労を,対照させつつ筋を展開し,趙五娘の貞節を強調した作品。…

※「高明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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