爆竹(読み)ばくちく(英語表記)bào zhú

精選版 日本国語大辞典 「爆竹」の意味・読み・例文・類語

ばく‐ちく【爆竹】

〘名〙 小さい竹筒紙筒火薬をつめ、それをたくさんつないだもの。火をつけると順々に爆発して激しい音をたてる。昔、中国で、元旦青竹を火にあぶってその破裂音で、山中に住むという悪鬼を追い払った行事初め。広く、祝日にも祝意を表わし、景気をつけるために行なう。日本では、正月一五日に焚(た)左義長の火と混同されて用いられることが多い。《季・新年》
※宝覚真空禅師録(1346)乾・節辰「鐘色纔動鼓声催、寒谷春随爆竹回」 〔荊楚歳時記

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デジタル大辞泉 「爆竹」の意味・読み・例文・類語

ばく‐ちく【爆竹】

竹または紙の筒に火薬を詰めたものを並べてつなぎ、次々に爆発させる音響花火。古くから中国で行われているもので、慶事・祝日に用いる。
左義長さぎちょうにたく火。

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改訂新版 世界大百科事典 「爆竹」の意味・わかりやすい解説

爆竹 (ばくちく)
bào zhú

中国において,爆竹とは本来,文字通り青竹を火の中に入れて爆(や)くことをいう。妖怪や悪鬼のたぐいは,その激しい破裂音に驚いて退散するとされた。古く梁の宗懍(そうりん)著《荆楚歳時記》正月の条に見え,六朝後期にはすでに除夜から新年にかけての厄ばらいの一つになっていた。この習俗は,以後長く続き,唐詩の中では〈爆竿(ばくかん)〉ともいう。北宋以後,硫黄をまじえた火薬を用い,〈爆仗(ばくじよう)〉と呼ばれた。現代の中国では,景気のよい,にぎやかな気分をかもし出すものとして,単に新年(旧正月)だけではなく,祭日やめでたい日に使用される。現在の爆竹は,黒色火薬を厚手の紙筒の中につめて密封し,一端から紙をよった導火線を引き出したものである。ほぼ次の2種類に分類される。(1)多数の小さな爆竹をつらね,一度点火すると次々と鳴りひびくもの(鞭炮(ピエンパオ)),(2)地面に立てたり,手に垂直にもって一度鳴らすもので,(1)の豆爆竹より大型で音の大きなもの(炮仗(パオチヤン))。
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普及版 字通 「爆竹」の読み・字形・画数・意味

【爆竹】ばくちく

祝祭などに細い竹管を爆発させて、悪鬼を祓う。〔楚歳時記〕正一日、~鷄鳴にしてき、先づに於て爆竹し、以て山(さんそう)(一本足の(き)という神)の惡鬼を辟(さ)く。

字通「爆」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「爆竹」の意味・わかりやすい解説

爆竹【ばくちく】

(1)中国の音響花火の一種。竹筒や紙筒に黒色火薬をつめて並べ,その端に点火して,次々に爆発させる。元来は青竹をたいて爆音をたてることをいう。魔よけになるとされて,慶事に用いられてきた。(2)左義長の火,どんどの火のこと。
→関連項目癇癪玉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「爆竹」の意味・わかりやすい解説

爆竹
ばくちく

音響花火の一種。古代中国で、火にあぶった青竹の破裂音で悪鬼を退散させた風習に始まり、のち火薬を短い竹筒に詰めるようになり、宋(そう)代には紙筒も用いられるようになった。大形で爆発音の大きい炮(パオ)と、小形のものを数個ないし十数個導火線でつないで、一端に点火し連続して爆音を発する鞭(ピエン)とがある。もとは元日に用いたが、のち、広く慶事・祝祭日に用いられ、中国、台湾ほか東南アジアにみられる。

[佐藤農人]

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世界大百科事典(旧版)内の爆竹の言及

【癇癪玉】より

…戦後はプラスチック製ロケット型の容器に入れたもの,プラスチック板に紙玉をはったもの,紙玉をテープ式に細長く巻いた〈巻き玉〉などがある。ほかに〈クラッカー〉という三角錐形のものがあり,これは筒の先端の紐を引くと爆音を発する一種の爆竹である。【斎藤 良輔】。…

【クラッカー】より

…軽い食事やカナッペに用いる。なお,紙筒に糸をつけ,それをひくと大きな音をたてる爆竹の一種もこの名で呼ばれ,パーティなどでさかんに用いられる(癇癪玉(かんしやくだま))。ビスケット【西村 潔】。…

※「爆竹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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