仙丈ヶ岳(読み)センジョウガタケ

デジタル大辞泉 「仙丈ヶ岳」の意味・読み・例文・類語

せんじょう‐が‐たけ〔センヂヤウ‐〕【仙丈ヶ岳】

山梨長野県境赤石山脈北部にある山。標高3033メートル。

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日本歴史地名大系 「仙丈ヶ岳」の解説

仙丈ヶ岳
せんじようがたけ

赤石あかいし山脈(南アルプス)北部の高山で、市野瀬村の東にあり、東は甲斐国と境をなす。標高三〇三三メートル。北は北沢きたざわ峠の鞍部を隔ててこまヶ岳(二九六六メートル)のこぎり山等に続き、南は農鳥のうとり岳・塩見岳等の高峰に連なる。西に地蔵岳(二三七一メートル)があり、ともに三峰みぶ川の水源地をなし、東は甲斐の野呂のろ川の水源地となっている。

伊那地方ではまえ岳とよんでいたものと思われるが、正保年間(一六四四―四八)の作といわれる信州伊奈郡之絵図(飯田市立図書館蔵)には「前岳」の記載はなく、大正一〇年(一九二一)刊の「上伊那郡史」所載の「元禄時代ノ伊那ノ図」には甲斐国境に「前嶽」とある。

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改訂新版 世界大百科事典 「仙丈ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

仙丈ヶ岳 (せんじょうがたけ)

赤石山脈北部,長野県(伊那市)と山梨県(南アルプス市)の県境にある山,標高3033m。仙丈岳ともいい,千丈ヶ岳とも書く。伊那谷側では前岳と呼ばれたこともあった。構成岩層は,白亜系の白根層群の砂岩,ケツ岩,粘板岩などからなる。北方の馬ノ背尾根,南方の仙塩尾根(通称,馬鹿尾根),西方の地蔵尾根,北東にある小仙丈岳から北沢峠へ下る尾根などを遠望したときに見られる豊かな山容は,〈南アルプスのクイーン〉と呼ばれている。山名の由来には,標高が千丈をこえるからという説,頂上部付近に千畳におよぶ広さの凹地があるという説がある。仙丈ヶ岳は,大規模なお花畑のあるところとして有名で,とくに藪沢の源流部付近,大仙丈岳東斜面付近,小仙丈沢カール付近など,標高2500mをこえる高山帯のお花畑はみごとである。西麓の市野瀬から地蔵尾根を経て,頂上の前岳三柱大神へ参詣する登山道が以前からあったが,1980年に開通した南アルプス林道によって北沢峠から容易に登山できるようになった。
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百科事典マイペディア 「仙丈ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

仙丈ヶ岳【せんじょうがたけ】

長野県,山梨県の境,赤石山脈北部にある山。標高3033m。赤石層群の硬砂岩チャートなどからなる塊状の山体をなす。山頂部は小仙丈ヶ岳,本峰,大仙丈ヶ岳が連なり,東斜面には小仙丈沢カール,西斜面には藪沢カールがある。高山植物が多い。南アルプス国立公園に属し,西側の戸台川,北沢峠経由の登山路がある。
→関連項目日本百名山

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仙丈ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

仙丈ヶ岳
せんじょうがたけ

長野、山梨の県境にある南アルプス(赤石山脈)北部の主峰。標高3033メートル。尾根を四方に延ばし、伊那(いな)盆地からは目だつ存在である。山頂付近は赤石層に属するチャートや砂岩からなる。山頂は小仙丈ヶ岳、仙丈ヶ岳、大仙丈ヶ岳の三つのピークに分かれ、それぞれの頂上近くに氷食地形である藪沢(やぶさわ)、仙丈、小仙丈の三つのカールが形成されている。仙丈カールの堆石(たいせき)(モレーン)上に仙丈小屋がある。カールを中心にタカネウスユキソウ、センジョウアザミなど高山植物の宝庫といわれている。1980年(昭和55)の南アルプス林道の開通で北沢峠までバスで行くことができ、峠から頂上まで約4時間で登山できる。山頂からは北方に鋸(のこぎり)岳や甲斐駒(かいこま)ヶ岳、南に南アルプスの連山など雄大な眺めが楽しめる。

[小林寛義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仙丈ヶ岳」の意味・わかりやすい解説

仙丈ヶ岳
せんじょうがたけ

山梨・長野県境,赤石山脈北部にある山。標高 3033m。中生代の砂岩,粘板岩,チャート,石灰岩類から成る。山頂近くに藪沢および仙丈のカールがある。標高 2700m付近が森林限界で,より高所には高山植物がみられる。登山道は甲府盆地側からは北方の北沢峠を経由し,伊那盆地側からは三峰 (みぶ) 川の支流戸台川に沿う。

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事典 日本の地域遺産 「仙丈ヶ岳」の解説

仙丈ヶ岳

(長野県伊那市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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事典・日本の観光資源 「仙丈ヶ岳」の解説

仙丈ヶ岳

(山梨県南アルプス市)
山梨百名山」指定の観光名所。

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