日本大百科全書(ニッポニカ) 「仙厓」の意味・わかりやすい解説
仙厓
せんがい
(1750―1837)
江戸後期の画僧。僊厓、仙崖とも書く。軽妙洒脱(しゃだつ)な水墨画をよくした。僧名は義梵(ぎぼん)。美濃(みの)国(岐阜県)の人。初め臨済(りんざい)宗の月船禅慧より学問を受け、1789年(寛政1)博多(はかた)の聖福寺の盤谷紹適(ばんこくしょうてき)に嗣法して、第123世の席を嗣(つ)ぎ、同寺の整備に尽力した。1811年(文化8)隠退ののちは詩書画三昧(ざんまい)の生活に入り、特有のユーモアに富んだ画風を確立していった。瓢逸(ひょういつ)で親しみやすい味わいをもつ彼の禅画、自賛の詩句、書は、近年評価を高めつつあり、代表作に『寒山・拾得(じっとく)・豊干(ぶかん)図』(福岡・幻住庵)がある。東京・出光(いでみつ)美術館のコレクションが有名である。
[星野 鈴]
『古田紹欽著『出光美術選書1 仙厓』(1970・平凡社)』▽『古田紹欽著『文人書譜8 仙厓』(1979・淡交社)』▽『福岡市美術館監修『仙厓和尚書画選集』(1981・文教出版)』