日本歴史地名大系 「仲村郷」の解説 仲村郷なかむらごう 高知県:土佐国吾川郡仲村郷「和名抄」高山寺本・東急本ともに「仲村」と記し、訓を欠く。「土佐幽考」は「今秋山村是也、見于種間寺縁起之書」とし、「日本地理志料」は「元禄郷帳、中村郷管勝浦浜・浦戸・御畳瀬・長浜・横浜・内谷・東諸木・西諸木・吉原・木塚・秋山・甲殿・仁野・西畑・森山・島村ノ十六邑」と記す。これは浦戸(うらど)湾の西、仁淀(によど)川東岸までの地で、現高知市南西から吾川郡春野(はるの)町南部一帯の地にあたる。 仲村郷なかむらごう 宮城県:陸奥国栗原郡仲村郷「和名抄」諸本とも訓を欠く。「日本地理志料」では築館(つきだて)・富野(とみの)・宮野(みやの)(現築館町)、堀口(ほりぐち)・八樟(やつくぬぎ)(現志波姫町)などにわたる地とする。 仲村郷なかむらごう 福島県:陸奥国宇多郡仲村郷「和名抄」所載の郷で、高山寺本に「奈加无良」と訓を付す。「大日本地名辞書」は現相馬市の中村・松(まつ)ヶ江(え)・八幡(やわた)・山上(やまかみ)地域とする。中村は近世村名で、中村城は一六世紀には中村大膳の居館であったので、中世地名でもある。 仲村郷なかむらごう 岩手県:陸奥国磐井郡仲村郷「和名抄」東急本・元和古活字本では「奈加無良」と訓を付す。北上川右岸の現西磐井郡花泉(はないずみ)町中村(なかむら)は遺称地とされる。「陸奥話記」に「磐井郡仲村」とみえ、「田畠を耕作して、民戸頗る饒なり」と記される。 仲村郷なかむらごう 宮城県:陸奥国新田郡仲村郷「和名抄」諸本とも訓を欠く。「続日本紀」神護景雲三年(七六九)三月一三日条に、「新田郡人外大初位上吉弥侯部豊庭」が「上毛野中村公」の姓を賜ったとあり、当郷に関連すると思われる。 仲村郷なかむらごう 香川県:讃岐国多度郡仲村郷「和名抄」高山寺本は郷名を欠く。東急本には「奈加無良」と訓を付す。中世には高野山一心(いつしん)院領の仲村庄が成立する。現善通寺市北部の中村(なかむら)町を遺称地とし、善通寺町北部から同地一帯に比定される。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by