任せる(読み)マカセル

デジタル大辞泉 「任せる」の意味・読み・例文・類語

まか・せる【任せる/委せる】

[動サ下一][文]まか・す[サ下二]
仕事などを他にゆだね、その自由にさせる。「経営を―・せる」
相手の好きなようにさせる。「御想像に―・せます」「身を―・せる」
そのままにしておく。ほうっておく。「髪の毛が乱れるに―・せる」「成り行きに―・せる」
(「…にまかせて」の形で)自然勢いのままにする。「口に―・せてでたらめをいう」「足に―・せて歩く」
従う。
「然ればすなはち先例に―・せて」〈平家・四〉
[類語]委ねる預ける頼む託する寄託する預託する信託する委託する委任する付託する言付けるしょくする依託する委嘱する依嘱する嘱託する・やってもらう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「任せる」の意味・読み・例文・類語

まか・せる【任・委】

  1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]まか・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙
  2. 事の処置などを他のものにゆだねて、自由にさせる。相手の思うままにさせる。
    1. [初出の実例]「吾が高天原に所御(きこしめ)斎庭(ゆには)の穂(いなほ)を以て、亦吾が児に当御(マカセ)まつるべし」(出典日本書紀(720)神代下(鴨脚本訓))
  3. そのものの本来のなりゆきのままにする。自然の勢いのままにする。多く「足にまかせて」「筆にまかせて」など、人の行為をいうのに用い、その行為がその人の意志であるよりも他のものの力によってなされている、といった感じを表わす時に用いる。
    1. [初出の実例]「船のゆくにまかせて海にただよひて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. 下襲(したがさね)の裾(きょ)などをうしろに流れ引くままにする。
    1. [初出の実例]「よろこび奏するこそをかしけれ。うしろをまかせて、御前のかたにむかひてたてるを、拝し舞踏しさわぐよ」(出典:枕草子(10C終)一一)
  5. 他のものに従ってこちらの態度や行動を決める。他の動きに応じて事を行なう。
    1. [初出の実例]「憚る所なく、例あらむにまかせて、なだむることなく、きびしう行へ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
  6. 心のままにする。自由にする。多く打消の語を伴って「思うようにならない」の意に用いる。
    1. [初出の実例]「さありとてまかせぬ世の中」(出典:随筆・独寝(1724頃)下)
  7. ( 「こちらに任せる」の意から ) 引き受ける。合点する。承知する。まかす。
    1. [初出の実例]「睨の介は見るよりも、『まかせたり』と言ふままに」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)下)

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