愛媛県東部にあった旧市名(伊予三島市)。現在は四国中央市の中央部を占める一地域。1954年(昭和29)三島、寒川(さんがわ)の2町と松柏(しょうはく)、豊岡、富郷(とみさと)、金砂(きんしゃ)の4村が合併して市制施行。2004年(平成16)川之江(かわのえ)市、土居(どい)町、新宮(しんぐう)村と合併、四国中央市となる。旧伊予三島市は、北は燧灘(ひうちなだ)に臨み、南は高知県と接する。JR予讃(よさん)線、国道11号、319号、松山自動車道が通じ、三島川之江インターチェンジがある。三島宮川に四国中央市役所が置かれている。旧三島町は古くは三島荘(しょう)、または大三島の三島神社(大山祇神(おおやまつみのかみ))に由来する。江戸時代には松山、今治(いまばり)、西条諸藩領に分割され、領有交替が多かったが、幕府直轄領もあったことは、別子(べっし)銅山をはじめ鉱山が多く、開発を積極的に進めたことによる。地域の80%以上が山地で、中南部の銅山(どうざん)川流域の富郷渓谷、金砂湖などは山間休養地となっている。瀬戸内海沿岸のわずかな低地では、この地方特有のやまじ風(南寄りの強風)が吹くため、とくに寒川地区の耕地にサトイモや球根類の栽培をみる。東隣の旧川之江市とともに西日本最大の製紙業地として知られる。文政(ぶんせい)年間(1818~1830)にコウゾ、ミツマタを原料とした半紙生産がおこり、明治に入って機械漉(す)きが導入された。さらに昭和初期には洋紙生産が着手された。製紙工場は三島から寒川にかけて集中し、手漉き障子紙、奉書紙、新聞紙、包装紙、段ボール、衛生紙なども生産する。伝統製品としては村松地区の水引細工がある。工業用水は銅山川に依存する。
[横山昭市]
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…人口高齢化の進行が著しく,Uターン者の雇用増加も限られているために経済社会の活性化が重要な課題となっている。 経済活動は,松山市より東に位置する今治,新居浜,伊予三島,川之江などの諸都市では,造船,タオル,重化学,紙・パルプなどの生産に特化しており,とくに新居浜市は瀬戸内海沿岸で唯一の財閥(住友)系の金属・化学・機械工業の集積をみている。1964年東予新産業都市,88年テクノポリスの指定を受け,電機,化学,造船,製鋼,ビールなどの進出があり業種の多様化をみ,四国最大の工業地域となっている。…
※「伊予三島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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