似島(読み)にのしま

日本歴史地名大系 「似島」の解説

似島
にのしま

[現在地名]南区似島町

広島(宇品港)の南約三キロの広島湾に浮ぶ島。周囲約一〇キロで、北部に標高二七八・一メートルの安芸小富士あきこふじがある。この山と南部の標高二〇三・一メートルの山との間にわずかな平地があって集落を形成。近世には仁保島にほじま村に属した。

天正一六年(一五八八)毛利輝元が上洛した時の「輝元公御上洛日記」によると、同年七月八日申の刻に厳島を出航した一行は、酉の刻に「見の島」に着き、翌日卯の刻にここを立って、巳の刻に音戸おんどノ瀬戸を通過している。この所要時間からすると見の島みのしまは似島にあたる可能性が大きい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「似島」の意味・わかりやすい解説

似島
にのしま

広島県西部、広島湾にある島。広島市南区に属す。面積3.87平方キロメートル。島の北部にある安芸(あき)小富士(278メートル)がもっとも高い。明治期以降旧陸軍の検疫所が置かれ、1945年(昭和20)8月には原爆の被災者約1万人を収容した。1946年には広島県戦災児教育所似島学園が創立された。広島(宇品)港にフェリーが通じ、広島市に通勤・通学する人も多い。島内ではミカンや野菜作り、カキノリ養殖などが行われ、砂利運搬船も多い。安芸小富士一帯は瀬戸内海国立公園に属し、島内には少年自然の家などレクリエーション施設が多い。人口1248(2000)。

[北川建次]

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改訂新版 世界大百科事典 「似島」の意味・わかりやすい解説

似島 (にのしま)

広島市の海の玄関口宇品港からフェリーで約20分,広島湾上にある小島。面積約4km2。広島市南区に属する。全島花コウ岩からなる。広島からみて富士に似るので,この名があるともいい,島の北部に標高278mの安芸小富士(あきこふじ)がある。明治中期以降,広島市の軍都化が進む過程で,島は陸軍検疫所など軍の施設に利用された。1954年原爆被災者1万人余が収容され,次々と死亡した。原爆孤児を収容する似島学園も創設された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「似島」の意味・わかりやすい解説

似島
にのしま

広島市南部,広島湾内にある島。南区に属する。最高点は安芸小富士 (278m) 。集落は西側にあり,東側の旧陸軍の検疫所跡には福祉施設や中学校などがおかれている。近年,宇品から海底送水管,電話線を敷設。安芸小富士付近は瀬戸内海国立公園に属する。面積 3.96km2。人口 1479 (1996) 。

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デジタル大辞泉プラス 「似島」の解説

似島

広島県広島市南区、宇品海岸の南方沖約3キロメートルに位置する島。「にのしま」と読む。面積約3.87平方キロメートル。富士山に似た形のよい山、安芸小富士がある。明治時代に陸軍検疫所がつくられ、第一次世界大戦後には俘虜収容所が設置された。第二次世界大戦中、広島への原爆投下時には検疫所は野戦病院となった。第二検疫所跡地には「似島臨海少年自然の家」がある。

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