侮る(読み)アナドル

デジタル大辞泉 「侮る」の意味・読み・例文・類語

あなど・る【侮る】

[動ラ五(四)]人を軽くみてばかにする。軽蔑する。見下す。「―・って油断するな」「―・りがたい敵」
[可能]あなどれる
[類語]嘲る見下す見くびる見下げる卑しめる蔑む貶める嘗める辱める虚仮こけにする馬鹿にする泥を塗る愚弄翻弄嘲弄軽蔑軽侮自嘲侮蔑侮辱陵辱蔑視

あなず・る〔あなづる〕【侮る】

[動ラ四]《「あなどる」の古形》軽蔑する。
「かの国の人にも、すこし―・られて」〈若紫

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精選版 日本国語大辞典 「侮る」の意味・読み・例文・類語

あなど・る【侮】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 他人を見下げてばかにする。軽蔑する。みくびる。あなずる。
    1. [初出の実例]「傲 阿奈止留 又志乃久 又也志牟」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
    2. 「災変起れば国土乱る。是上慎まず、下慢(アナト)る故也」(出典太平記(14C後)三五)

侮るの語誌

上代・中古は、「あなづる」が優勢で、それが古形であると言われる。中世になり、次第に「あなどる」の用例が増加する。室町末の抄物類や「甲陽軍鑑」などでは併用されているが、「天草本平家物語」や「天草本伊曾保物語」などのキリシタン資料には「あなどる」だけが見え、「あなづる」はこの頃を境に衰えていったと考えられる。ただし、「日葡辞書」には両形見えるが「あなどる」の方がまさる旨の記述がある。


あなず・るあなづる【侮】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「あなどる(侮)」の古形 ) 馬鹿にする。軽蔑する。あなどる。
    1. [初出の実例]「皆心を同じくして凌ぎ蔑(アナツリ)て曰はく〈興福寺本訓釈 蔑 安奈都利天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    2. 「人にあなづらるるもの。築土のくづれ。あまり心よしと人にしられぬる人」(出典:枕草子(10C終)二七)

侮るの語誌

→「あなどる(侮)」の語誌

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