コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

予防拘禁 ヨボウコウキン

デジタル大辞泉の解説

よぼう‐こうきん〔ヨバウ‐〕【予防拘禁】

刑期満了後も改悛(かいしゅん)の情がないか、再犯のおそれがあると認められる者を、引き続き拘禁する制度。かつて治安維持法のもとで思想犯に対して採用された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

予防拘禁【よぼうこうきん】

常習犯人を再犯防止のため刑の執行後も拘禁する,保安処分一種。1908年英国で創設。日本ではかつて治安維持法政治犯につき認めていた。改正刑法仮案(1940年)の予防処分も常習犯人につき同趣旨の目的をもっていた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

よぼうこうきん【予防拘禁】

治安維持法違反者のうち,当局が〈非転向〉または〈転向不十分〉とみなした者を刑期満了後も拘禁する制度。1941年3月,朝鮮で朝鮮思想犯予防拘禁令が施行され,ついで同一規定を含む新治安維持法が帝国議会で可決され,同年5月施行された。これよりさき,政府は三・一五事件関係者などの刑期満了・出獄に対処するため,1934年の治安維持法改正案で予防拘禁制の導入を試みたが実現しなかった。予防拘禁制は,治安維持法違反の受刑者中,政治的・思想的信念を変えずに(〈非転向〉で)出獄する者を,〈再犯〉のおそれありとして拘禁しつづける制度であるが,41年法では刑期満了でまさに釈放されようとする者のみならず,いったん釈放され思想犯保護観察法の対象となった者でも,〈転向不十分〉とみれば拘禁しうるとした。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

よぼうこうきん【予防拘禁】

再び同じ犯罪を犯すおそれがあると認められる者を、刑期終了後も拘禁すること。治安維持法において思想犯に対して採用された。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

予防拘禁
よぼうこうきん

治安維持法違反により刑を受け、非転向のまま刑期を満了して出獄した者の「再犯」を防止するために、その者を拘禁し続ける制度。1934年(昭和9)の治安維持法改正案で初めて登場したが、このときは反対が強くて流産し、41年の同法改正において実現した。同法によると、予防拘禁の請求は、対象となった者の現在地の地方裁判所検事が同裁判所に請求(40条)し、裁判所が決定する(44条)。決定を受けた者は予防拘禁所に収容され、転向を強要する処置がとられた(53条)。期間はいちおう2年とされたが、転向しない場合は何度でも更新された(55条)。この制度により非転向の共産党員らは刑期満了後も敗戦に至るまで獄につながれ続けた。この制度は、敗戦後の1945年(昭和20)10月、GHQの指令「政治的、市民的及宗教的自由に対する制限の撤廃に関する覚書」によって、その根拠となる治安維持法、予防拘禁手続令、同処遇会などの廃止が命ぜられたことにより、崩壊した。[渡辺 治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

予防拘禁の関連キーワード太平洋戦争史(年表)北アイルランド紛争刑法改正事業町田 惣一郎近衛文麿内閣ぬやまひろしマッカラン法山辺健太郎松本 一三妹尾 義郎強制収容所黒木 重徳町田惣一郎守田 道輔田中 ウタ人足寄場村上 由志賀義雄予防法学モズリー

今日のキーワード

ラニーニャ現象

《La Niña events》赤道付近のペルー沖から中部太平洋にかけて、数年に1度、海水温が平年より低くなる現象。低下する温度差はエルニーニョ現象での上昇温度差より一般的に小さい。→ダイポールモード...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

予防拘禁の関連情報