傘連判(読み)カラカサレンバン

デジタル大辞泉 「傘連判」の意味・読み・例文・類語

からかさ‐れんばん【傘連判】

大勢の人が連署するとき、一つの円の周囲放射状署名を連ねること。また、その証文首謀者を隠し、あるいは平等に責任を負い、団結する意志を示す。

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精選版 日本国語大辞典 「傘連判」の意味・読み・例文・類語

からかさ‐れんばん【傘連判】

  1. 〘 名詞 〙 傘連判状に署名し、盟約すること。また、その証文。
    1. [初出の実例]「五年八月、上之保・明方筋之百姓二三千人南宮社に集まり〈略〉五拾余人之者那留ケ野にて秘に傘連判をなし」(出典:郡上騒動記(江戸中頃か))

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改訂新版 世界大百科事典 「傘連判」の意味・わかりやすい解説

傘連判 (からかされんばん)

〈かされんばん〉ともよみ,傘連判状,傘形連判ともいう。契状(多数の人々が一味同心して契約を結ぶときに作成する文書)にみられる署名様式の一つ,またその文書。南北朝時代より江戸時代に及ぶ。武家文書が多いが寺院の文書にもみうけられる。数人以上の志を一にする者が傘を広げたような形に署名するところからこの名称が付けられた。室町時代の国人一揆の盟約,戦国時代の大名および武士の一族間の団結,江戸時代では百姓一揆の盟約などにその例がみうけられる。いずれも放射状に氏名を署名するために首謀者がだれであるかわからないという利点があろう。しかし一味の中心的人物の署名が上部あるいは下部に,それに次ぐ人物が左右に記され,その他の者が斜めの位置にくることも少なくないので,上記の目的にとどまるものではない。相馬文書の応永17年(1410)2月晦日の相馬氏一族の文書,また毛利家文書の弘治3年(1557)12月2日の毛利元就以下の文書がその一例である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「傘連判」の意味・わかりやすい解説

傘連判
かされんぱん

結束を誓った文書の末尾に、環状もしくは放射状の形で記された署名捺印(なついん)をいう。百姓一揆(いっき)に際して指導者不明の場合、連判状筆頭者を首謀者とみなす領主側の取扱い方に対して、発頭人、発頭村を隠すためにこのような形がとられた。1681年(延宝9)常陸(ひたち)国志筑(しづく)藩25か村百姓訴状では村名がこの形で記され、また1754年(宝暦4)同国茨城郡10か村訴状には、各村村役人30名が傘連判形式で署名捺印したうえで、「惣(そう)百姓不残(のこらず)」とある。

[水本邦彦]

『青木虹二編『編年百姓一揆史料集成』(1980・三一書房)』

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百科事典マイペディア 「傘連判」の意味・わかりやすい解説

傘連判【からかされんぱん】

笠連判とも。南北朝・室町時代,対等の権利・義務を持つ署名者によって結ばれた国人一揆契状で署判の序列を廃すために編みだされ,円形になるように放射状に署名した。江戸時代以降の百姓一揆の訴状では首謀者を隠すためにこの方法をとったものがある。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「傘連判」の解説

傘連判
からかされんぱん

円形を中心に放射状に連署する署名形式。近世では車連判ともよぶ。中世後期の一揆契状に特徴的にみられ,一揆参加者の平等を表示したり,発起人を隠すためにとられた形式。


傘連判
かされんぱん

傘連判(からかされんぱん)

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世界大百科事典(旧版)内の傘連判の言及

【傘連判】より

…〈かされんばん〉ともよみ,傘連判状,傘形連判ともいう。契状(多数の人々が一味同心して契約を結ぶときに作成する文書)にみられる署名様式の一つ,またその文書。…

※「傘連判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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