充行(読み)アテオコナイ

デジタル大辞泉 「充行」の意味・読み・例文・類語

あて‐おこない〔‐おこなひ〕【充行/宛行】

所領俸禄給与すること。あてがい。

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改訂新版 世界大百科事典 「充行」の意味・わかりやすい解説

充(宛)行 (あておこない)

〈あてがい〉とも読む。平安時代以後,不動産や動産の給与,譲与処分,委託行為をさして使われるようになった語。なかでも荘園や所領での土地の給与の意味でしばしば使われたことから,その後の武家社会における主従関係の発展とともに,主人から従者に与えられる恩給の意味で用いられるようになった(御恩・奉公)。その恩給は武家社会では,はじめのうち所領については充行,所職については補任(ぶにん)と区別されていたが,やがてともに充行としてとらえられるようになった。そのため充行の際に作成される文書は,充文(あてぶみ),充行状のほかに,さらに補任状まで含められる。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「充行」の解説

充行
あておこない

「あてがい」とも。宛行とも。平安時代以降の前近代社会で,所領の支配者が自己の所領の一部を縁者や支配下の人物に与えること。領主地主農民に耕作する土地を割りあてたり,荘園領主が荘官に給田・給畠を与える,将軍大名御家人家臣知行地を恩給するなど。その際,給与者から被給与者に交付された文書を充行状または充文(あてぶみ)といった。充行の対象はしばしば作職(さくしき)・下司(げし)職・地頭職などと表現され,充行状が補任状の形式をとる場合もあった。武家社会では主人の従者に対する恩恵行為として,既得所領を承認する安堵(あんど)とともに最も重要とされた。

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百科事典マイペディア 「充行」の意味・わかりやすい解説

充行【あておこない】

〈あてがい〉とも読み,〈宛行〉とも書く。平安時代以後,不動産や動産の給与,譲与,処分,委託行為を指して使用された語。武家社会では,主人から従者に与えられる恩給のうち,所領についてを充行,所職についてを補任(ぶにん)といったが,のちにはともに充行ととらえられ,被給者に充行状・充文,または補任状を交付した。
→関連項目打渡状

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世界大百科事典(旧版)内の充行の言及

【充行(宛行)】より

…なかでも荘園や所領での土地の給与の意味でしばしば使われたことから,その後の武家社会における主従関係の発展とともに,主人から従者に与えられる恩給の意味で用いられるようになった(御恩・奉公)。その恩給は武家社会では,はじめのうち所領については充行,所職については補任(ぶにん)と区別されていたが,やがてともに充行としてとらえられるようになった。そのため充行の際に作成される文書は,充文(あてぶみ),充行状のほかに,さらに補任状まで含められる。…

【充文】より

…充(宛)行状(あておこないじよう∥あてがいじよう)ともいう。古代より近世へかけて土地や所職を給付するとき,給付者より発せられる文書。…

※「充行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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