恒星の分類は,通常はスペクトル型の分類をいうが,さらに詳しく分類する場合には第二次元の分類として絶対等級すなわち光度階級を用いる。ヘルツシュプルング=ラッセル図の縦軸が光度階級にほかならない。階級には,超巨星(Ⅰa,Ⅰb),輝巨星(Ⅱ),巨星(Ⅲ),準巨星(Ⅳ),主系列星(Ⅴ)の5種類がある。例えば,太陽はG2型の主系列星なのでG2Ⅴと書く。ベガ(織女星)はA0Ⅴ,超巨星のアンタレスはM1Ⅰbである。
恒星の光度階級は,地球からの距離が確実に測定できる場合には問題なく決定できるが,それは数十光年以内の星に限られる。一般には星のスペクトルの特徴からその光度階級を推定するよりしかたがない。その原理は,スペクトルの吸収線の強さや強さの比が,星の外層の温度のみでなく気圧にも依存すること(絶対等級効果)による。温度が同じでも,巨星は主系列星に比し半径が大きいので重力加速度が小さく,したがって気圧が低くなり,原子が電離しやすい,などの事情によるのである。例えばストロンチウムのイオンと中性カルシウムの線の強度比などが光度階級の判定に用いられる。
光度階級を絶対等級に較正するには,F型以下の主系列星には三角視差(年周視差)を,それ以外には統計視差(視線速度と固有運動とを比較する方法)を,超巨星には銀河系回転を用いるが,まだ完全に較正されていない部分もある。
→等級
執筆者:大沢 清輝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…直接写真に比べて,スペクトルを撮るのが困難なために,見かけの形態だけから絶対光度を推定するくふうもされている。渦巻銀河については,渦状腕の発達度や円盤部分の表面輝度を判定基準として,IからVの5段階にわたる〈光度階級〉が導入され,Sa―Smの各分類型ごとに,絶対等級と対応づけられている。最近の統計的研究によれば,この対応づけは,各光度階級の明るい部類の銀河についてはほぼ正しいが,暗いものまでを含めていくと必ずしも対応関係がよくないといわれている。…
…したがって,この現象を絶対等級効果と呼ぶ。これを定量化したものが光度階級で,Ia,Ibが超巨星,IIが輝巨星,IIIが巨星,IVが準巨星,Vが矮星(主系列星)を表す。これによれば,太陽はG2Vの星となる。…
※「光度階級」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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