光電管(読み)こうでんかん(英語表記)phototube

翻訳|phototube

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

光電管
こうでんかん
phototube

外部光電効果 (光電子放出効果) を利用して光強度を電流の大小に変換して測定するための一種の真空管。基本的には光を受けて光電子を放出する光電面と呼ばれる陰極と,光電子を集めて光電流とするための陽極とからできている。光電面には光電子が出やすいセシウムなどアルカリ金属を主体にした物質が真空蒸着法で薄膜としてつけられている。光電面として使われる物質によって光量に対する感度だけでなく,光の波長に対する感度 (波長感度) も異なり,S-1からS-20などいろいろな種類の光電面が使われている。最近は光電面と陽極との間に二次電子増倍電極を入れ,光電流を増幅するようになった光電子増倍管がよく使われる。光電管を使って光信号を電気的量に変えて測定するようにした装置を一般に光度計という。

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百科事典マイペディアの解説

光電管【こうでんかん】

外部光電効果を利用し光の強弱を電流の大小に変換する真空管陰極(光電面)に光を当てて光電子を放出させ,これを陽極に集めて電流を得る。光電面にはアルカリ金属,酸化セシウムと銀の複合体,セシウムとアンチモンの合金等を用い,ガラス管内面に蒸着するか金属板とする。管内は真空または不活性ガスを微量封入する。トーキー写真電送・自動警報装置や,光の測定・検出に利用。
→関連項目カラースキャナー光電素子紫外線照度計赤外線電子管フォトダイオード

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栄養・生化学辞典の解説

光電管

 光の検出器で,物質に光を当てたときに物質の電子が表面から外に放出されることを利用して,その電子を測定することによって光の強さを測定する装置.分光光度計などに使われる.

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大辞林 第三版の解説

こうでんかん【光電管】

外部光電効果を利用した電子管。光を受けた陰極面から電子が放出され、陽極に達して電子流ができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

光電管
こうでんかん
phototube

光の強さを電気量に変換する電子管。物体に光を照射すると電子(光電子)を放出する外部光電効果を利用したもので、光が照射されてから100分の1マイクロ秒以下で光陰極から放出される電子を陽極で集め、電流として取り出す二極管である。光陰極とは光電子放出と陰極の作用をあわせてもつもので、光電子放出の作用を主としてみるときは光電面という。外部光電効果は1888年ドイツの物理学者ハルバックスW. L. F. Hallwachsによって発見されたので、ハルバックス効果ともよばれるが、これを用いて1910年ころにドイツのエルスターJ. P. Elsterらがさまざまな光電管をつくり「総放出電子量は入射光量に比例」することを認めてから実用されるようになった。
 外部光電効果では、それぞれの物質に特有な限界波長があり、それより短い波長でなければ光電効果がおきない。したがって、電子の流れである光電流は、限界波長で決まり、さらに光電面の材料および処理によって著しく変化する。アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、可視光線の領域で光電感度があり、初期にはこれを水素、酸素、水蒸気、ベンゼンなどで処理して用いていたが、今日では複合陰極を用いている。おもなものはアルカリ酸化物陰極で、これは下地金属の表面を酸化し、その上にアルカリ金属の薄膜を付着させる。この場合、アルカリ金属は下地金属を還元してアルカリ金属酸化層をつくるとともに、表面に数原子層の厚みのアルカリ金属が残る。この種の陰極はアルカリ金属陰極などに比べて限界波長の範囲が広く、広い光波長領域で高感度のものが得られる。たとえば銀・酸化セシウム・セシウム複合陰極などは、多くの目的に利用されている。
 光電面は、ガラス管球の内面に付着したものと、金属板の陰極を封入するものとがある。ガラスは普通軟質ガラスを用いるが、紫外線用には透明石英とか紫外線用ガラスを用いる。光電管には、管内を真空にした真空光電管と、ガス入り光電管とがある。真空光電管では、入射光束と光電流とがほぼ直線の関係が得られ、これと二次電子放射陰極を配置することで、高感度を得る光電子増倍管も構成される。ガス入り光電管は、普通アルゴンガスを1000分の1気圧程度封入し、封入ガスのイオン化電圧以上の陽極電圧をかけ、10~100倍の感度のものが得られる。光電流は陽極電圧を増すと増加するが、入射光束とは直線関係はない。
 光電管は種々な光測定に用いられるが、ラマン分光やニュートリノの検出など微弱光の測定に偉力を発揮する。[岩田倫典]

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精選版 日本国語大辞典の解説

こうでん‐かん クヮウデンクヮン【光電管】

〘名〙 光電効果を利用して、光の強弱を電流の変化にかえる働きをもつ真空管。円筒または球形のガラス管の内壁または管内の金属板に光電子を放出しやすい物質を蒸着して陰極とし、管内の中央に棒状または環状の陽極をおいたもの。外から入った光が陰極にあたると光電子が放出され、陽極電圧に引かれて電流が流れる。真空光電管とガス入り光電管とがある。〔現代術語辞典(1931)〕

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世界大百科事典内の光電管の言及

【光電効果】より

… 光電子のエネルギー分布を測定することにより,金属その他の物質の電子のバンド構造に関する情報を得る手法を,光電子分光といい,反射,吸収などの分光手法と並び,固体の電子のバンド構造を調べる重要な手法になっている。 光電子放出は光電管,光電子増倍管,撮像管などに応用されている。光電管は光電子を放出する光陰極と光電子を集める陽極からなる二極管で,光の検知や強さの測定に用いられている。…

【光電素子】より

…この現象を光起電力効果という。 測光用光電素子としては光電面を使用する光電管と光電子増倍管,内部光電効果を用いる光導電セル,光起電力セル,フォトダイオード,フォトトランジスターがある。光電効果
[光電管photoelectric tube]
 光電面と陽極をもつ二極真空管で光電子流を測定する。…

※「光電管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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