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全日本海員組合 ぜんにほんかいいんくみあい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

全日本海員組合
ぜんにほんかいいんくみあい

略称,海員海運・漁業の船舶乗員を網羅した個人加盟の単一組合。前身は 1921年5月創立の日本海員組合で,戦前右派系組合の主力の1つ。戦時体制下の 40年解散。敗戦直後の 45年 10月現組織に再建された。 50年の日本労働組合総評議会 (総評) 結成に参加したが,路線批判で全繊同盟等とともに脱退,全日本労働組合会議 (全労会議) ,全日本労働総同盟 (同盟) の主力となった。船主協会と統一交渉,統一労働協約を締結するなど産業別単一組合として日本唯一の機能を発揮している。 1960年代から 70年代にかけて賃上げ長期ストを展開したが,海運不況や合理化の進行で,海上労働の人間性回復,海運政策変更の闘いが重要課題となった。日本労働組合総連合会 (連合) 加盟。

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百科事典マイペディアの解説

全日本海員組合【ぜんにほんかいいんくみあい】

略称は海員,全日海。1945年他の組合にさきがけて再建された船舶乗務員の職業別単一組合。前身は日本海員同盟友愛会・日本船員同志会・海員自治会・海員共同救済会を母体に結成された日本海員組合(1921年―1940年)。
→関連項目マルシップ制

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

全日本海員組合
ぜんにほんかいいんくみあい

船舶の乗組員を組合員とする全国組織の産業別組合。略称海員または海員組合。組合員数約3万人(2011年3月)。日本労働組合総連合会(連合)加盟組合。1921年(大正10)に結成された日本海員組合を引き継ぎ、1945年(昭和20)10月5日、第二次世界大戦後もっとも早く結成された労働組合。企業単位ではなく最初から「日本船員」を組織対象とした日本では珍しい個人加盟の産業別単一組織で、各船主団体と統一労働協約を結び、統一交渉・統一闘争が基本となっている。1946年のゼネスト闘争では、左派が一時的に勢力を得ていたが、海員は一貫して右派の立場を守り、日本労働組合総評議会(総評)、全日本労働組合会議(全労会議)の結成に重要な役割を果たした。1946年9月の人員整理反対闘争の勝利、1965年11月末から翌1966年1月末にかけて闘われた労働協約改定要求の長期波状スト、1972年4月から7月にかけての約90日間「賃上げ・人間性回復・合理化対策」をスローガンとして闘われた長期ストなど、その産業別組織としての役割は高く評価された。
 1973年には政党支持自由の方針を打ち出し、右派の反対にあっているが、そのような方針提起の背景には海運合理化の進展に伴う船員の雇用や労働条件の不安定化の問題があった。1980年代に入ると海運合理化はさらに進行し、自国船員の乗り組みを義務づけられない便宜置籍船(便宜上船籍を自国以外の国に置く)が活用され、東南アジアなどの低賃金船員が増えて日本人船員が大幅に削減され、1970年代には16万人以上を擁した組合員は、1990年代に入るころから7万人を割るようになった。また1990年代にはいわゆる近代化船(自動化により乗組員を削減)の導入により、海員組合はさらに人員削減を迫られた。なお、1972年に船舶通信士の船舶通信士労働組合(通信士組合)が分離・独立した。国際組織では、国際運輸労連(ITF)に加盟している。
 また、海上労働の特異性から船員の労働条件や労働関係は船員法に規定され、労働委員会も船員労働委員会(中央・地方)が別に設置されており、それらは国土交通省の所管となっている。[川崎忠文]

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世界大百科事典内の全日本海員組合の言及

【海員】より

…全日本海員組合の略称。連合,交運労協の加盟組合。…

【海上労働】より

…船員は海上労働の特質上早期引退を余儀なくされることがあるため,老齢年金の支給要件が緩和され,被保険者期間15年で支給開始年齢55歳となっている。 船員の労働組合である全日本海員組合(海員と略称)は,戦前から横断的労働協約を結んだ実績をもち,企業別組合が支配的な日本にあってほとんど唯一の横断的労働組合組織として,海上労働における労使関係と労働条件の決定にきわめて大きな影響力を行使している。船員中央労働委員会,船員地方労働委員会は,船員にかかわる不当労働行為の救済等を通じて労使紛争の解決にあたるほか,最低賃金の決定および職業安定関係事項について審議する。…

※「全日本海員組合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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