八宗(読み)ハッシュウ

精選版 日本国語大辞典 「八宗」の意味・読み・例文・類語

はっ‐しゅう【八宗】

  1. 〘 名詞 〙 平安時代に広く行なわれた、仏教の八つの宗派。すなわち、倶舎(くしゃ)成実(じょうじつ)・律・法相(ほっそう)三論華厳(けごん)の南都六宗に、天台真言を加えたものの総称。八家。
    1. [初出の実例]「顕密之聖教八宗にわかれて、経論五千三百十二局なり」(出典:宝物集(1179頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「八宗」の意味・わかりやすい解説

八宗 (はっしゅう)

日本古代・中世の仏教宗派の総称。中国の仏教学興起にともない,仏教伝来から8世紀中ころまでの間に,中国より直接もしくは朝鮮三国を通じて,日本へもたらされた三論・成実(じようじつ)・法相(ほつそう)・俱舎(くしや)・律・華厳(けごん)の6宗(南都六宗)と,9世紀初めに最澄,空海が中国より伝えた天台・真言の2宗(北京(ほつきよう)二宗)をいう。奈良時代には〈宗〉は〈衆〉とも書き,学派を意味し,一つの寺に複数の宗が存在したが,平安時代からは一寺一宗となる傾向がつよく,しだいに教派教団の意味をもちだした。禅・浄土を加えて九宗・十宗といい,また広く各宗の教学を研鑽することを八宗兼学という。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「八宗」の意味・わかりやすい解説

八宗【はっしゅう】

平安時代までに日本に伝来した仏教の宗派。南都六宗の華厳(けごん),法相(ほっそう),三論,成実(じょうじつ),倶舎(くしゃ),律の各宗に,北京(京都)の天台・真言の2宗を加えたもの。日本仏教根幹となるもので,八宗兼学は仏教を学ぶものの基礎とされた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む