公帖(読み)こうじょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

公帖
こうじょう

公文 (くもん) ともいう。中世,仏,社寺のうち官寺住持の任命書。鎌倉時代には寺によって朝廷と武家からそれぞれ出され,建武中興期には朝廷から綸旨の形で出されたが,室町時代にはもっぱら将軍から出された。公帖に対しては謝礼の官銭が出されたが,室町時代中期以降は売官の風習を生じ,名目だけの公帖が乱発された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

公帖
こうじょう

古文書の一形式。公文(くもん)ともいう。室町時代、禅宗寺院のなかの官寺の住持を任命する文書。室町幕府は、禅寺に五山・十刹(じっさつ)・諸山の寺格の制を定め、公帖を出してそれらの住持を任命した。室町中期以降、幕府は仏寺の造営修理などにあたって、その費用をつくりだす方法として、官銭を納めさせて、実際には入寺しない名目上の住持を任命する売官制度を盛んに利用した。このとき発給する公帖を、とくに坐(ざ)公文といった。[百瀬今朝雄]

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世界大百科事典内の公帖の言及

【公文】より

…したがって荘園現地の実質的支配権をめぐる鎌倉期における領家と地頭の争いは,しばしば公文の進退権をめぐって行われた。なお特殊な用例として,室町時代,五山・十刹・諸山など官寺禅院の住持の任命辞令(多くは幕府発行)を公文・公帖(こうじよう)といい,実際に入寺しない者に官銭を得るために出したものを売公文,入寺しない者を坐公文・居公文(いなりくもん)といった。公文所【工藤 敬一】。…

※「公帖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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