十刹(読み)ジッセツ

デジタル大辞泉 「十刹」の意味・読み・例文・類語

じっ‐せつ【十刹】

臨済宗で、五山に次ぐ寺格の10の寺院。日本でも、南宋の制に従って興国3=康永元年(1342)に定めたが、その後変動があった。元中3=至徳3年(1386)に、京都十刹の等持寺・臨川りんせん寺・真如寺安国寺宝幢ほうどう寺・普門寺・広覚寺・妙光寺・大徳寺・竜翔寺と、関東十刹鎌倉十刹)の禅興寺瑞泉ずいせん寺・東勝寺万寿寺・大慶寺・興聖こうしょう寺・東漸寺万福寺法泉寺長楽寺が定められた。じっさつ。

じっ‐さつ【十刹】

じっせつ(十刹)

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精選版 日本国語大辞典 「十刹」の意味・読み・例文・類語

じっ‐せつ【十刹】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「せつ」は「刹」の慣用音 ) 臨済宗で、五山に次ぐ寺格の十大寺。中国に始まり、日本では一三三四年以前すでに制定されていたとみられる。その内容は時代によって異同がある。じっさつ。
  2. 中国の十大寺。中竺天寧万寿永祚禅寺・道場護聖万寿禅寺・蒋山太平興国禅寺・万寿報恩光孝禅寺・雪竇資聖禅寺・江心龍翔禅寺・雪峰崇聖禅寺・双林宝林禅寺・虎丘雲巖禅寺・天台山教忠禅寺(景徳国清禅寺)の総称
  3. 暦応四年(一三四一)に定められた十大寺。相模浄妙寺・相模禅興寺・筑前聖福寺・山城万寿寺・相模東勝寺・相模万寿寺・上野長楽寺・山城真如寺・山城安国寺・豊後万寿寺の総称。
  4. 京都の十大寺。等持院・臨川寺・真如寺・安国寺・宝幢寺・普門寺・広覚寺・妙光寺・大徳寺・龍翔寺の総称。
  5. 鎌倉の十大寺。禅興寺・瑞泉寺・東勝寺・万寿寺・東漸寺・善福寺・大慶寺・興聖寺・法泉寺・長楽寺の総称。

じっ‐さつ【十刹】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「さつ」は「刹」の漢音 ) =じっせつ(十刹)
    1. [初出の実例]「五山十刹(サツ)長老も」(出典太平記(14C後)二六)

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事典・日本の観光資源 「十刹」の解説

十刹

禅宗寺院の格式を示す。南宋がインドの制度にならい、それを日本でも取り入れ1342(康永1)年に足利尊氏五山十刹を定めた。
[観光資源] 安国寺〈廃寺〉 | 浄智寺 | 聖福寺 | 真如寺 | 禅興寺〈現・明月院〉 | 長楽寺 | 東勝寺〈廃寺〉 | 万寿寺〈廃寺〉 | 万寿寺 | 万寿寺

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十刹」の意味・わかりやすい解説

十刹
じっせつ

禅宗で五山に次ぐ格式をもった 10ヵ寺。もともと中国の呼称であるが,日本でもこれにならって,元中3=至徳3(1386)年,京都,鎌倉にそれぞれ 10ヵ寺が制定された。中国の十刹は,天寧万寿永祚寺(杭州),護聖万寿寺(湖州),大平興国寺(建康),報恩光孝寺(蘇州),雪竇山資聖寺(明州),竜翔寺(温州),崇聖寺(福州),宝林寺(婺州),雲巌寺(蘇州),天台山国清教忠寺(台州)。京都十刹は,等持寺,臨川寺,真如寺,安国寺,宝幢寺,普門寺,広覚寺,妙光寺,大徳寺,竜翔寺。鎌倉十刹(関東十刹)は,禅興寺,瑞泉寺,東勝寺,万寿寺,大慶寺,興聖寺,東漸寺,善福寺,法泉寺,長楽寺。

十刹
じっさつ

十刹」のページをご覧ください。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「十刹」の解説

十刹
じっさつ

五山制度における寺格の一つ。五山についで諸山(甲刹(かっさつ))の上に位置する。鎌倉時代に南宋の五山にならって設けられたものが最初。はじめ全国から10の禅院を選んだが,足利義満の時代にいたり16カ寺が制定され,定数の意味を失って寺格化した。1386年(至徳3・元中3)五山制度の完成にともない京都十刹・関東十刹が決定。のちしだいに数が増加し,中世末には60カ寺以上の寺院が十刹に指定されていた。

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改訂新版 世界大百科事典 「十刹」の意味・わかりやすい解説

十刹 (じっせつ)

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旺文社日本史事典 三訂版 「十刹」の解説

十刹
じっさつ

中世,禅宗寺院の格式。

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世界大百科事典(旧版)内の十刹の言及

【五山・十刹・諸山】より

…禅林(禅宗寺院)の官寺制度における3段階からなる寺格で,五山を最高位とする。官僚階級との接近をみた中国宋代の禅林は,一般社会の官僚機構を禅林運営に導入して官寺制度を確立し,インドの五精舎・十塔所にちなんだといわれる五山・十刹は南宋代に設定された。最上位の5ヵ寺の禅寺である五山は,径山(きんざん)興聖万寿禅寺,北山景徳霊隠(りんにん)禅寺,太白山天童景徳禅寺,南山浄慈(じんず)報恩光孝禅寺,阿育王山広利禅寺で,五山に次ぐ十刹は永祚寺,万寿寺,興国寺,光孝寺,資聖寺,竜翔寺,崇聖寺,宝林寺,雲岩寺,教忠寺の10ヵ寺である。…

【五山・十刹・諸山】より

…禅林(禅宗寺院)の官寺制度における3段階からなる寺格で,五山を最高位とする。官僚階級との接近をみた中国宋代の禅林は,一般社会の官僚機構を禅林運営に導入して官寺制度を確立し,インドの五精舎・十塔所にちなんだといわれる五山・十刹は南宋代に設定された。最上位の5ヵ寺の禅寺である五山は,径山(きんざん)興聖万寿禅寺,北山景徳霊隠(りんにん)禅寺,太白山天童景徳禅寺,南山浄慈(じんず)報恩光孝禅寺,阿育王山広利禅寺で,五山に次ぐ十刹は永祚寺,万寿寺,興国寺,光孝寺,資聖寺,竜翔寺,崇聖寺,宝林寺,雲岩寺,教忠寺の10ヵ寺である。…

※「十刹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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