訴訟の審理および裁判をだれでも傍聴することができる場所(法廷)で行う原則。秘密審理主義(密行主義)に対する用語であり、一般公開主義とも称される。国家権力の一つである司法権の行使を国民の監視下で行うことにより、裁判の公正さを確保し、司法に対する国民の信頼を高めることに、その意義と目的がある。日本では、憲法において、民事・刑事を問わず、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」と規定されている(憲法82条1項)。裁判官の全員一致で、公開審理が公序良俗を害するおそれがあると決定した場合に限り、例外的に非公開審理ができるにすぎない(同法82条2項)。ただし、この場合でも、判決の言渡しは公開で行わなければならず、政治犯罪、出版に関する犯罪、または国民の基本的人権が問題となっている事件については、すべて公開しなければならない。
「対審」とは、民事訴訟では「口頭弁論」をさし、「裁判」とは、非訟事件と対置される訴訟事件における「裁判(判決)」を意味すると解されている(非訟事件については公開主義の原則は妥当しない)。公開主義違反の審理は、実際に法廷に傍聴人がいたか否か、判決の内容に影響があったか否かを問わず、上告によってつねに取り消されることになる(民事訴訟法312条2項5号)。
口頭弁論の公開の趣旨を徹底するために、訴訟記録(訴状、準備書面、口頭弁論調書、判決原本など一つの訴訟事件に関して作成された書面で、裁判所が保存しなければならない一切のものを綴(と)じ込んだ帳簿)の公開原則が規定されている(同法91条。同法92条では秘密保護のための訴訟記録の閲覧等の制限が規定されている)。
なお、最近の法改正では、プライバシーや営業秘密の保護の観点から、一定の範囲で、非公開審理手続が規定されている(人事訴訟法22条、特許法105条の7、不正競争防止法13条など)。
[伊東俊明 2016年5月19日]
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