準備書面(読み)じゅんびしょめん

日本大百科全書(ニッポニカ)「準備書面」の解説

準備書面
じゅんびしょめん

民事訴訟においては、「口頭弁論は、書面で準備しなければならない」(民事訴訟法161条)とされている。つまり、訴訟の当事者が次の口頭弁論で陳述しようとする事項を、あらかじめ記載して裁判所へ提出し、また相手方に送達しておく書面を準備書面という(民事訴訟規則79条)。当事者が口頭弁論の日に突然新しい内容の複雑な攻撃防御方法を提出すると、相手方がこれに対して即応できない場合があるし、裁判所もどのように訴訟を進行すべきか判断しがたい場合がある。そのために、さらに期日を重ねる必要が出てくると、それだけ訴訟の解決が遅れることになる。そこで、当事者がこれから提出しようとする攻撃防御方法を書面に記載して、お互いに交換し、また裁判所にも知らせておけば、訴訟は能率よく行われるはずである。そのために作成される書面が準備書面であり、とくに被告・被上訴人が提出する準備書面を答弁書(同規則80条)という。

[内田武吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「準備書面」の解説

準備書面
じゅんびしょめん
vorbereitende Schriftsätze

民事訴訟法上,当事者が口頭弁論に先立って弁論内容の予告をする書面。地方裁判所以上では常にこれで弁論を準備する必要があるが,訴状,上訴状は準備書面のをも兼ねる。簡易裁判所では原則としてその提出の必要がない。準備書面が提出されると,裁判所は当事者間の争点が予知できるし,相手方も反対陳述の準備が可能となり,後日の口頭弁論を集中的,効果的に行なうことができる。準備書面に記載された事項は,提出者が最初の口頭弁論期日に欠席した場合にも陳述したものとみなされる。また準備書面に記載しなかった事実は,相手方が廷しない場合には,口頭弁論で主張することができない。

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百科事典マイペディア「準備書面」の解説

準備書面【じゅんびしょめん】

民事訴訟において当事者が口頭弁論で述べようとする事項を記載した書面(民事訴訟法161条以下)。口頭弁論を集中して行う一手段であり,地方裁判所以上では,口頭弁論期日前に,こうした書面を裁判所に提出して,相手方に送達すべきものとされる。原告の訴状に対して被告の態度を表明する,最初の準備書面を答弁書と呼ぶ。→争点整理手続当事者照会

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精選版 日本国語大辞典「準備書面」の解説

じゅんび‐しょめん【準備書面】

〘名〙 民事訴訟で、当事者が口頭弁論において陳述しようとする事項を記載して裁判所に提出する書面。〔民事訴訟法(明治二三年)(1890)〕

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世界大百科事典 第2版「準備書面」の解説

じゅんびしょめん【準備書面】

民事訴訟において,口頭弁論に先だって,自己の弁論の内容を相手方に予告する書面。迅速にして遺漏のない弁論を尽くし合うためには,陳述が相手方にとって不意打ちとなるようであってはならない。そこで,当事者は口頭弁論で陳述する内容を記載した準備書面をあらかじめ相手方と交換して,予告された弁論への応答の準備をしなければならない(民事訴訟法161条)。ただし,簡易裁判所の手続では,原則として準備書面の交換は必要でない(276条)。

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