企業が稼得した処分可能な純利益のうち,社外に分配せずに企業内に留保したもの,または留保行為そのものをいう。内部留保,利益留保ともいう。企業は稼得した純利益額をふまえて,その処分方途をいろいろな角度から検討し,決定する。処分方途には,処分により社外に資金が流出していくものと,処分によっても資金が企業内にとどまるものとがある。前者には配当や役員賞与があり,後者には利益準備金,新築積立金,事業拡張積立金,繰越利益剰余金等の準備金や積立金がある。この後者に属するものが社内留保である。処分可能利益に対する社内留保の割合は社内留保率と呼ばれる。通常,処分可能利益には当期純利益(税引後)に前期からの繰越利益剰余金が含まれるので,社内留保率は,(処分可能利益-社外分配額(配当金+役員賞与))/(処分可能利益(税引後当期純利益+繰越利益剰余金増減高))で算出される。これに対応し,処分可能利益に対する社外分配額の割合は社外分配率と呼ばれる。処分可能利益を一定とすれば,社内留保率が高いほど企業内部により多くの資金がとどまることになる。一般的には,内部留保は,稼得利益を源泉とするため,収益性の高い企業ほどその率も高くなるといえる。内部留保は,資金を企業内にとどめ,活動資金として使用することを可能にするため,外部から資金を集める手数と費用を省くことにより,企業活動に財務面から大きな貢献をなす。そこで,通常,社外への資金の流出を伴わない費用である減価償却費とともに内部資金とされ,財務上重視される。それらは,株式,社債,借入金などの外部資金とともに企業の有力な資金調達方法である。また企業が一定の収益力をもつならば,内部留保資金の再投資により追加利益の獲得ができ,企業の成長に貢献する。その面からも内部留保は重視される。
執筆者:前田 貞芳
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…また,内部金融,外部金融によって調達された資金をそれぞれ内部資金,外部資金と呼ぶことがある。企業の資金調達方式についてみると,内部金融に属するものとしては,企業内部に留保され蓄積された利益である内部留保(社内留保とも呼ぶ)を用いる方法と,減価償却積立金を設備資金や運転資金などに用いる方法とが代表的である。これに対し,企業の外部金融の例としては,金融機関からの借入金,株式・社債の発行,企業間信用(売掛金,買掛金)などによる方法がある。…
※「社内留保」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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