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円卓の騎士 えんたくのきしLes Chevaliers de la Table Ronde; The Knights of Round Table

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

円卓の騎士
えんたくのきし
Les Chevaliers de la Table Ronde; The Knights of Round Table

ヨーロッパ中世の騎士道物語に登場する騎士の一団。アーサー王臣下で,騎士の中のエリート。まずフランス語による騎士道物語 (特に 12世紀後半のクレチアン・ド・トロア作など) において,騎士道の理想像として描かれ,英語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語,オランダ語,北欧チェッコ語等の相次ぐ翻訳で全ヨーロッパ的人物像に昇華する。
アーサーは,アングロ・サクソンの大ブルターニュ (ブリテン) の侵略に抗するかつての武将 (9世紀初めのラテン語の記述) から騎士道物語段階で想像界の王者にと変身をとげた。王妃グニエーブルとの間に子はなく,妖精モルガンは異父妹。 12世紀なかばに王位についたプランタジネット朝ヘンリー2世は,政略上,アーサーに自分をなぞらえる。円卓の騎士は,封建制下で封土はなく,貧しい騎士 (下級貴族) 階級が騎馬槍試合で得た戦利品の分配にあずかって生計を立てるという過酷な現実を反映,騎士道物語に彼らの夢とイデオロギーを託したものとされる。円卓の騎士は,アーサー王の甥でそのかたわらにあって王を補佐するゴーベン (ガウェイン) ,同じくアーサー王の甥 (実際は不義の子) で王国の纂奪者モルドレ,王と乳兄弟のクー,王妃グニエーブルの永遠の恋人とされるランスロ,エレック,イヴェン,聖杯探索の主人公ペルスバル (→聖杯伝説 ) とその探索をキリスト教次元に引上げた「天上の騎士」ガラッド,イズーに宿命的愛を捧げるトリスタン,ジョフレ (南フランス語の円卓の騎士物語の主人公) などが知られ,150人の円卓の騎士がいたといわれる。円卓には騎士の名前が刻まれ,死とともに消えたという。
「円卓」の名称は,初期騎士道物語作者のワース Waceによれば,騎士たちの無用な席次争いをさけるためブルトン人に作らせたと,1155年頃の記述に初めてみられる。「円卓」は騎士道の理想を集約するばかりか,この選ばれた騎士たちの使命が完遂される世界を表象し,彼らの詩的,空間的中心であった。トリスタンの伯父,マルクがアーサー王の居城のあるカマロを攻略,円卓はその時,破壊されたという (13世紀,作者不詳のフランス語版『散文トリスタン物語』 Le Roman de Tristan en proseによる) 。アーサー王を核とする後期の物語群は,円卓の騎士の究極の標点をキリスト教化し,「そこに座を占める者,全世界を得るよりも満ち足りる」ものとし,キリストの誕生以降3つのテーブルが設置されたといわれる。キリストが十字架にかけられる前夜の「最後の晩餐の卓」,アリマテアのヨセフが大ブルターニュに宣教に渡り作らせた「聖杯の卓」,魔術師メルラン (マーリン) の指示によりアーサーが設置させた「円卓」 (13世紀,作者不詳のフランス語版『聖杯の探索』による) がある。ここで第三の卓,「円卓」はキリスト教的史観に位置づけられる。時間を透視する能力をもつメルランは,冒険を求め,武芸を磨くため宮廷を出発した円卓の騎士が,その成果をつぶさに報告する義務を負わせるよう,王に忠告する。円卓の騎士は物語の作者,登場人物であると同時に聴衆となる。騎士階級のより所である円卓の騎士の物語は,16世紀初め『ドン・キホーテ』という過激な作品によって風刺されたとき,その使命を終えることとなった。

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百科事典マイペディアの解説

円卓の騎士【えんたくのきし】

アーサー王の騎士たち。王は騎士たちに上下の区別をつけないよう円形のテーブルに着かせた。このテーブルは王がギネビアとの結婚の際,彼女の父から贈られたもので150人が着席できたという。
→関連項目パルチファル

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デジタル大辞泉プラスの解説

円卓の騎士

米国の作家マリオン・ジマー・ブラッドリーの長編ファンタジー(1983)。原著『アヴァロンの霧』《The Mists of Avalon》を4分冊で翻訳刊行したものの第4巻。ローカス賞ファンタジー長篇部門受賞(1984)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

円卓の騎士
えんたくのきし
The Knights of the Round Table

イギリスのアーサー王伝説において円卓に座る資格をもった騎士。円卓は、座る位置によって上下の差のない平等性を示唆する。円卓についての最初の記述は1154年ごろワースによってフランス語で書かれた『ブルート』であって、騎士たちの優位争いを止めるためにアーサー王がくふうしたという。円卓の起源に関しては諸説あって、アーサーの父ユーサー・ペンドラゴンがカメリアード王レオデグランスに与え、その娘ギニビアがアーサーと結婚する際、100人の騎士を添えて祝いの品にしたとか、聖杯を手にしたアリマタヤのヨセフの最後の晩餐(ばんさん)のテーブルをかたどったとかいう。ともあれ、この円卓には150人の騎士が座ることができるといい、ここに座ることのできる騎士はキリスト教的使命に燃えた優れた騎士であり、失われた聖杯を尋ね求めることを第一の目的としている。円卓には一つの空席があり、「危険な座」とよばれて、無事に座る資格のある優れた騎士のために空けられている。やがてその席を占めるのは騎士(サー)ガラハッドである。円卓はイングランド南部のウィンチェスター城に保存されているが、13世紀ごろのものと思われる。
 円卓の騎士は諸国を巡り歩き、聖杯を尋ね、武勇を磨き、弱き(とりわけ女性)を助ける、いわば中世の騎士道を具現する存在であった。騎士たちの武勇伝については、12世紀から15世紀に至る間、イギリス、ドイツ、フランスを中心に多くの詩や散文が書かれた。代表的な騎士の名は、勇気と貞節の象徴的な存在サー・ランスロット、その子で聖杯を捜し当てるサー・ガラハッド、アーサー王の甥(おい)サー・ギャウェイン、イゾルデとの悲恋で知られるサー・トリスタン、血の滴る聖槍(せいそう)を見たサー・パーシバル、叔父のアーサー王に背き王に致命傷を与えるサー・モドレドである。円卓の騎士にまつわる物語は、ヨーロッパ中世文学の重要な部分となっている。[船戸英夫]

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