おもに金融機関が資金繰りの必要上から,すでに取引先からの依頼により割引(手形割引のこと。〈貸出し〉の項参照)した手形を,その金融機関が割引依頼人となり,他の金融機関あるいは中央銀行によって再度割引を受けることをいう。日本の場合,手形割引市場が発達していないため,通常,中央銀行である日本銀行による再割引を受けることが,再割引の具体的な取引形態である。これは,日本銀行がその手形の信用度等からみて割引適格と判定したものを再割引する形で行う金融機関の現金準備の最終のよりどころとしての信用供与の一つであり,これを国民経済的観点からみれば,日本銀行が金融政策を運営するに当たって,手形貸付け(〈貸出し〉の項参照)と並んで,必要不可欠の業務の一つとして位置づけられる。
日本銀行は,その取引先金融機関に供与する再割引額および手形貸付額に対して最高限度額(これを貸出限度額制度という)を設け,この限度額を引き上げたり削減したりして金融調節手段として活用している。日本銀行は,一定の要件を備えた商業手形のほか,輸出関係手形も再割引適格として取り扱っていたが,1972年10月以降商業手形のみを再割引適格としている。再割引適格商業手形は,販売の目的で買い入れた商品の代金決済のために振り出された約束手形または為替手形であって,再割引の日から3ヵ月以内に満期が到来すること,割引依頼人(取引先金融機関)のほか,支払能力確実なもの1名以上の裏書があることが要件とされている。なお,日本銀行の再割引および手形貸付けに付される金利は公告されることになっており,公定歩合と呼ばれている。
執筆者:池田 直人
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金融機関が割り引いた手形をふたたび他の金融機関に割り引いてもらうことをいう。日本では、日本銀行がおもな再割引機関である。日本銀行が割引適格と認めた優良手形を再割引適格手形といい、商業手形のほか、一定の要件を備えた輸出前貸手形・期限付輸出手形も含まれていたが、1972年(昭和47)10月以降、商業手形のみを再割引適格手形としている。
このように、手形の再割引は民間金融機関に対する日本銀行の資金供給の一環でもあるが、企業の手形発行残高自体が縮小傾向にあり、日本銀行の再割引手形は激減した。日本銀行勘定により「割引手形」残高の推移をみると各年末時点で、1985年(昭和60)1982億円・貸出金(貸付金+割引手形)に占める比率4.5%から、1990年(平成2)1437億円・2.3%、1995年839億円・1.7%、2000年48億円・0.6%となっており、2001年以降はゼロである。この日本銀行の「商業手形割引歩合ならびに国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利子歩合」が公定歩合であったが、2001年1月より公定歩合の定義は「基準割引率および基準貸付利率」に変更された(計数出所は日本銀行『金融経済統計月報』)。
[井上 裕]
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