再割引(読み)サイワリビキ

デジタル大辞泉 「再割引」の意味・読み・例文・類語

さい‐わりびき【再割引】

金融機関が割り引いた手形中央銀行や他の金融機関が再び割り引くこと。

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精選版 日本国語大辞典 「再割引」の意味・読み・例文・類語

さい‐わりびき【再割引】

  1. 〘 名詞 〙 金融機関が依頼人のために割り引いた手形を、資金操作の必要からさらに他の金融機関または中央銀行に割り引いてもらうこと。日本では、日本銀行が取り扱う。
    1. [初出の実例]「本日当銀行にて貴君裏書の手形再割引(サイワリビキ)拒絶致し候」(出典社会百面相(1902)〈内田魯庵〉虚業家尺牘数則)

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改訂新版 世界大百科事典 「再割引」の意味・わかりやすい解説

再割引 (さいわりびき)

おもに金融機関が資金繰りの必要上から,すでに取引先からの依頼により割引(手形割引のこと。〈貸出し〉の項参照)した手形を,その金融機関が割引依頼人となり,他の金融機関あるいは中央銀行によって再度割引を受けることをいう。日本の場合,手形割引市場が発達していないため,通常,中央銀行である日本銀行による再割引を受けることが,再割引の具体的な取引形態である。これは,日本銀行がその手形の信用度等からみて割引適格と判定したものを再割引する形で行う金融機関の現金準備の最終のよりどころとしての信用供与の一つであり,これを国民経済的観点からみれば,日本銀行が金融政策を運営するに当たって,手形貸付け(〈貸出し〉の項参照)と並んで,必要不可欠の業務の一つとして位置づけられる。

 日本銀行は,その取引先金融機関に供与する再割引額および手形貸付額に対して最高限度額(これを貸出限度額制度という)を設け,この限度額を引き上げたり削減したりして金融調節手段として活用している。日本銀行は,一定の要件を備えた商業手形のほか,輸出関係手形も再割引適格として取り扱っていたが,1972年10月以降商業手形のみを再割引適格としている。再割引適格商業手形は,販売の目的で買い入れた商品の代金決済のために振り出された約束手形または為替手形であって,再割引の日から3ヵ月以内に満期が到来すること,割引依頼人(取引先金融機関)のほか,支払能力確実なもの1名以上の裏書があることが要件とされている。なお,日本銀行の再割引および手形貸付けに付される金利は公告されることになっており,公定歩合と呼ばれている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「再割引」の意味・わかりやすい解説

再割引
さいわりびき

金融機関が割り引いた手形をふたたび他の金融機関に割り引いてもらうことをいう。日本では、日本銀行がおもな再割引機関である。日本銀行が割引適格と認めた優良手形を再割引適格手形といい、商業手形のほか、一定の要件を備えた輸出前貸手形・期限付輸出手形も含まれていたが、1972年(昭和47)10月以降、商業手形のみを再割引適格手形としている。

 このように、手形の再割引は民間金融機関に対する日本銀行の資金供給の一環でもあるが、企業の手形発行残高自体が縮小傾向にあり、日本銀行の再割引手形は激減した。日本銀行勘定により「割引手形」残高の推移をみると各年末時点で、1985年(昭和60)1982億円・貸出金(貸付金+割引手形)に占める比率4.5%から、1990年(平成2)1437億円・2.3%、1995年839億円・1.7%、2000年48億円・0.6%となっており、2001年以降はゼロである。この日本銀行の「商業手形割引歩合ならびに国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利子歩合」が公定歩合であったが、2001年1月より公定歩合の定義は「基準割引率および基準貸付利率」に変更された(計数出所は日本銀行『金融経済統計月報』)。

[井上 裕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「再割引」の意味・わかりやすい解説

再割引
さいわりびき
rediscount

一度割引かれた手形を再び割引くこと。金融機関や金融業者が支払期日到達前に期日までの利子を控除して手形を買取ることを割引というが,再割引は金融業者が買取った手形を銀行などが再び買取る場合と,銀行が資金繰りのために中央銀行あるいはほかの金融機関に再び割引に出す場合とがある。しかし日本ではこれまで割引市場が未発達であったため,一般に再割引といえば日本銀行における割引を意味し,その割引歩合が公定歩合の基準レートになっている。またその場合には再割引適格手形 (→適格手形 ) として一定の条件を満たしている必要がある。 1971年から日本銀行が短資業者を中心とする手形売買市場の育成に乗出し,現在は金融機関相互間における手形の売買は拡大し,日本銀行はその市場で取引される手形をオペレーションの対象に加えている。 (→手形オペレーション )

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百科事典マイペディア 「再割引」の意味・わかりやすい解説

再割引【さいわりびき】

銀行その他の金融機関が運用資金を調達するため,自行で割り引いた手形を他の金融機関または中央銀行に再度割り引いてもらうこと。日本の場合,通常は日本銀行による再割引を受けることがその具体的な取引形態である。→再割引適格手形手形割引
→関連項目割引政策

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