区画漁業(読み)クカクギョギョウ

デジタル大辞泉 「区画漁業」の意味・読み・例文・類語

くかく‐ぎょぎょう〔ククワクギヨゲフ〕【区画漁業】

漁業法に基づいて免許を受け、一定の区域内で水面区画して行う漁業ノリカキ魚類養殖など。

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精選版 日本国語大辞典 「区画漁業」の意味・読み・例文・類語

くかく‐ぎょぎょうククヮクギョゲフ【区画漁業】

  1. 〘 名詞 〙 免許漁業一つ。水面を区画してその区域内で行なう漁業。海藻、カキなどの養殖の類。
    1. [初出の実例]「『区画漁業』とは、左に掲げる漁業をいう」(出典:漁業法(1949)六条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「区画漁業」の意味・わかりやすい解説

区画漁業
くかくぎょぎょう

一定区域内で営まれる水産動植物の養殖業のこと。免許漁業(漁業権漁業)の一種。定置漁業同様、一定の漁場・場所を占有して施設や漁具敷設するので、漁業法に基づく漁業権免許がなければ営むことができない。制度上、区画の仕方によって3種類に分類される。

 第1種は、敷設物で区域内の海面を小割りして行われるノリ、ワカメコンブ、カキ、魚類等、代表的な養殖業が含まれる。すなわち、網ひびを敷設・展開するノリのひび建て養殖業、幹綱や筏(いかだ)に籠(かご)・網・ロープ糸等を垂下したり装着したりして行われるホタテガイ、カキ、真珠貝、ワカメ、コンブ等の養殖業、および生け簀(す)を敷設して行われるブリ、マダイヒラメ、クロマグロ等魚類の給餌(きゅうじ)養殖業等がある。第2種は、土、石、竹、木、その他の物によって囲まれた一定の区域内で行われる養殖業とされる(漁業法60条)が、実際には網仕切方式あるいは築堤方式により海面を大きく囲い込んで行う魚類養殖やクルマエビ養殖が行われる。第3種は、それ以外の養殖業(おもにアサリ貝類の地まき式養殖業)である。

 2018年(平成30)の漁業法改正により、区画漁業権免許は個別漁業者に付与するのを基本とする方式に変更され、それまで養殖業の中心をなした地元漁業協同組合(漁協)等が優先免許される「特定区画漁業権」制度は廃止されたが、実際の免許では地元漁協等が団体漁業権として免許される場合が大半を占める。この場合、漁業者は組合管理漁業権の行使規則(組合員行使権)の下で養殖業を営むこととなる。

 なお、区画漁業に基づく日本の海面養殖業は全海面漁業生産量の22%、沿岸漁業生産量の内訳でみると50%をそれぞれ占める(2019年)。また、養殖業を営んだ経営体数をおもな業種についてみるとホタテガイ養殖3019、カキ養殖3021、ノリ養殖3414、ワカメ養殖3442、コンブ養殖1628、ホヤ養殖856、ブリ類養殖643、マダイ養殖699、ヒラメ養殖96、トラフグ養殖200、クロマグロ養殖96、真珠養殖615、真珠母貝養殖405、等であった(2018年漁業センサス)。

[廣吉勝治・工藤貴史 2022年8月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「区画漁業」の意味・わかりやすい解説

区画漁業
くかくぎょぎょう

漁業法の規定に基づき,都道府県知事の免許を得て,海や河川,湖沼の一定水面区域で営む養殖業をいう。漁業法で用いられている用語。 (1) のり,かき,真珠などの養殖業,(2) えび,ぶりなど魚類の養殖業,(3) あさり,はまぐりなど貝類の養殖業の3種に分れる。これらは特定の漁場を占有して営むものであるところから,「漁業権漁業」の範疇に含まれる。区画漁業を営む権利を区画漁業権という。区画漁業による適正な漁場利用を確保するため,地元の漁業協同組合が,漁場の割当てや規制などを行なっている場合が多い。

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