一定区域内で営まれる水産動植物の養殖業のこと。免許漁業(漁業権漁業)の一種。定置漁業同様、一定の漁場・場所を占有して施設や漁具を敷設するので、漁業法に基づく漁業権免許がなければ営むことができない。制度上、区画の仕方によって3種類に分類される。
第1種は、敷設物で区域内の海面を小割りして行われるノリ、ワカメ、コンブ、カキ、魚類等、代表的な養殖業が含まれる。すなわち、網ひびを敷設・展開するノリのひび建て養殖業、幹綱や筏(いかだ)に籠(かご)・網・ロープ糸等を垂下したり装着したりして行われるホタテガイ、カキ、真珠貝、ワカメ、コンブ等の養殖業、および生け簀(す)を敷設して行われるブリ、マダイ、ヒラメ、クロマグロ等魚類の給餌(きゅうじ)養殖業等がある。第2種は、土、石、竹、木、その他の物によって囲まれた一定の区域内で行われる養殖業とされる(漁業法60条)が、実際には網仕切方式あるいは築堤方式により海面を大きく囲い込んで行う魚類養殖やクルマエビ養殖が行われる。第3種は、それ以外の養殖業(おもにアサリの貝類の地まき式養殖業)である。
2018年(平成30)の漁業法改正により、区画漁業権免許は個別漁業者に付与するのを基本とする方式に変更され、それまで養殖業の中心をなした地元漁業協同組合(漁協)等が優先免許される「特定区画漁業権」制度は廃止されたが、実際の免許では地元漁協等が団体漁業権として免許される場合が大半を占める。この場合、漁業者は組合管理漁業権の行使規則(組合員行使権)の下で養殖業を営むこととなる。
なお、区画漁業に基づく日本の海面養殖業は全海面漁業生産量の22%、沿岸漁業生産量の内訳でみると50%をそれぞれ占める(2019年)。また、養殖業を営んだ経営体数をおもな業種についてみるとホタテガイ養殖3019、カキ養殖3021、ノリ養殖3414、ワカメ養殖3442、コンブ養殖1628、ホヤ養殖856、ブリ類養殖643、マダイ養殖699、ヒラメ養殖96、トラフグ養殖200、クロマグロ養殖96、真珠養殖615、真珠母貝養殖405、等であった(2018年漁業センサス)。
[廣吉勝治・工藤貴史 2022年8月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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