日本大百科全書(ニッポニカ) 「南伊豆」の意味・わかりやすい解説
南伊豆(町)
みなみいず
静岡県賀茂郡、伊豆半島最南端の町。1955年(昭和30)町制施行。天城(あまぎ)山系の南部丘陵に属し大部分が山地で、青野川流域にわずかに平地を有する。海岸線は曲折に富み、景観に恵まれ、冬の季節風は強いが温暖で、霜をみることは少ない。国道136号が通じ、マーガレットライン(旧、南伊豆道路)の開通で石廊(いろう)崎や野猿の波勝(はがち)崎、弓ヶ浜や子浦(こうら)の海水浴場など四季を通じて観光客が多い。石廊崎付近を含む海岸一帯は伊豆西南海岸の名称で国の名勝に指定されている。温暖な気候を利用して柑橘(かんきつ)類などの施設園芸、花卉(かき)の露地栽培も盛ん。マーガレットの生産量は日本有数。海岸部ではアワビ、イセエビ、テングサ、ヒジキ採取を主とし、観光と結び付いた農漁業が中心。国天然記念物に手石の弥陀ノ岩屋(ていしのみだのいわや)があり、下賀茂温泉の熱を利用した下賀茂熱帯植物園、東京大学樹芸研究所、約800種の植物がみられる南伊豆亜熱帯公園、ササユリの群生がみられる天神原植物園などもある。面積109.94平方キロメートル、人口7877(2020)。
[川崎文昭]