静岡県伊豆半島最南端の岬。石室崎とも書く。南伊豆町に属する。付近は約100メートルの海食崖(がい)と、隆起海食台地、鋸歯(きょし)状に交錯する入り江と岬、安山岩質集塊岩からなる尖塔(せんとう)状の奇岩など、変化に富んだ壮大な景観を示し国指定名勝「伊豆西南海岸」となっている。岬の東の入り江奥の石廊崎港(長津呂港(ながつろこう))はかつて風待ち港であった。岬端には1871年(明治4)設置された白色の灯台、無線中継所、方位測定所などがあり重要な地点であるが、1974年(昭和49)の伊豆半島沖地震では、活断層に伴う被害を受けた。海に面する石室神社(いろうじんじゃ)は千石船の帆柱を土台にして建てられたもので、石室権現(ごんげん)ともよばれ、船乗りの守り神である。奥石廊海岸もある。下田からバス40分、下車後徒歩15分。岬めぐりの遊覧船がある。
[北川光雄]
静岡県伊豆半島最南端,南伊豆町にある岬。石室岬とも書く。古くは長津呂崎ともいい,岬東の湾奥部にある長津呂は帆船時代の風待港であった。伊波例命を祭る石廊神社があり,岩群に由来する地名ともいわれる。岬の周辺は比高約100mにも達する海食崖でかこまれる隆起海食台地で,安山岩質集塊岩からなる岩峰や海食洞が多く,展望風景もよい観光地で,伊豆周遊ルートの拠点となっている。岬端には1871年に建設された石廊埼灯台があり,建設当時は木造八角形の白色洋式灯台で沖合の神子元(みこもと)島の灯台とともに相模灘と駿河湾とが接する重要な地点であった。また測候所,航路標識も置かれている。冬季も温暖な無霜地帯であるため花卉栽培が盛んで県立有用植物園も設置されている。1974年の伊豆半島沖地震の際には東西方向の活断層が横ずれで発生し,長津呂,仲木,入間などの集落の被害は大きかった。
執筆者:北川 光雄
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