印可(読み)インカ

デジタル大辞泉の解説

いん‐か【印可】

[名](スル)
密教や禅宗で、師僧が弟子に法を授けて、悟りを得たことを証明認可すること。
武道芸道などで、極意を得た者に与える許し。免許。

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世界大百科事典 第2版の解説

いんか【印可 yìn kě】

仏教で師が弟子悟りを認め証明する言葉,もしくはその物証。日本の芸能では,免許証や許状を出す意となる。《維摩経》弟子品に,維摩舎利弗(しやりほつ)の座禅を叱り,正しい座禅の心得を説いて,このようにすれば仏は印可される,といっているのが根拠であり,中国の禅宗では,そうした印可の印として,衣鉢や禅板,机案,払子(ほつす)などを与えることとなり,さらにその事由を記す印可状や,師の肖像(頂相(ちんそう))に賛をつけて与える風習が生まれて,日本に多くの遺品を伝える。

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大辞林 第三版の解説

いんか【印可】

( 名 ) スル
〘仏〙 弟子が悟りを開いたり、宗教的能力を得たことを、師が証明認可すること。主に禅宗・密教でいう。印信許可いんじんこか
芸道・武道などで、師が弟子に秘伝の伝授の終了を認めて授ける許し。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

印可
いんか

印定認可(いんじょうにんか)、印信許可(いんじんきょか)のこと。すなわち師が弟子の悟境(ごきょう)を認めてこれを証明すること。おもに禅宗や密教で用いられる用語。禅宗では、師家(しけ)が学人の悟境を点検し、円熟したと認めた場合、学人に師家の資格を有することを認承する証明書を与える。印可証明ともいう。密教では秘法を伝授終了した際、その証明書となる印信を与えることをいう。転じて、芸道などで奥義(おうぎ)を窮めたことを認め、師匠が弟子の熟達したことを証明すること、またその証明書の意に用いられる。[石川力山]

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精選版 日本国語大辞典の解説

いん‐か【印可】

〘名〙 (「印」は印信(しるし・証印)、「可」は許可の意)
① (━する) 仏語。師僧が、弟子の修行者が悟りを得たことを証明認可すること。
正法眼蔵(1231‐53)嗣書「仏にあらずよりは、たれかこれを最尊なりとし、無上なりと印可することあらん」
太平記(14C後)一二「大梅常和尚は〈略〉山居の風味を詠じて、已熟の印可(インカ)を得給へり」 〔維摩経‐上〕
② 武道、芸道などにおいて、門弟がその奥義を身に付けたことを師匠が証明すること。また、その証明書、免許状。
※五音曲条々(1429‐41頃)「名をゆるされ、道をへて、既に師家(しけ)のいんかを得てこそ、我も又しけとはなるべけれ」
浄瑠璃傾城反魂香(1708頃)上「ヲヲけふより土佐の光澄と名付べしと、ゐんかの筆をあたふれば」 〔梁簡文帝答湘東王書〕
※浄瑠璃・加賀国篠原合戦(1728)一「殿御は其方(そち)が好き次第、と父上の印可(ヰンカ)を取った」
④ 関流の数学において、数学伝授上定めた階級の最高級。

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世界大百科事典内の印可の言及

【頂相】より

…禅宗では〈法〉は師から弟子へ受けつがれるものであり,したがって師の像容を写した頂相はもっとも尊重され,生けるがごとく敬慕される。画像の場合,通常,師が伝法の印可(悟道の熟達を証明したもの)として図上に著賛し,その法嗣に付与したものである。一般には曲彔(きよくろく)(法会に用いる椅子)上に趺坐(ふざ)し,右手に竹篦(しつぺい),払子(ほつす),警策(けいさく)をもつ全身像が基本であるが,画像では半身像,経行(きんひん)像(経を唱えながら歩行する姿),夢中像,円相像,再来説に基づくものなど,像主の境涯や説話をとり入れた像容をもつ頂相もある。…

※「印可」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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