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双面 ふたおもて

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

双面
ふたおもて

浄瑠璃,歌舞伎狂言の一類型。2つの人格が合体した亡霊,あるいは同じ姿をした人物が同時に舞台に出現する趣向。能の『二人静』などの影響を受け,歌舞伎狂言で種々の形で取上げられ,安永4 (1775) 年の『垣衣恋写絵 (しのぶぐさこいのうつしえ) 』で一典型が形成された。のちに大坂で改訂上演され,さらに寛政 10 (98) 年江戸森田座において,『両顔月姿絵 (ふたおもてつきのすがたえ) 』の外題増補上演された。これが常磐津節の現行曲で,2世岸沢古式部の作曲。

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デジタル大辞泉の解説

ふた‐おもて【双面】

浄瑠璃歌舞伎舞踊趣向の一。二人の人物が全く同じ姿形で現れて周囲を惑わし、最後に一方が亡霊や変化(へんげ)の正体を現すもの。

ふたおもて【双面】[歌舞伎舞踊]

歌舞伎舞踊。常磐津(ときわず)。本名題「両顔月姿絵(ふたおもてつきのすがたえ)」。別名題「双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)」。木村円夫作詞、岸沢九蔵作曲。寛政10年(1798)江戸森田座初演。俗称法界坊」。

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百科事典マイペディアの解説

双面【ふたおもて】

法界坊

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世界大百科事典 第2版の解説

ふたおもて【双面】

歌舞伎舞踊。常磐津節。通称《売(しのぶうり)》。本名題《両顔月姿絵(ふたおもてつきのすがたえ)》。現代では《双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)》の名題で上演することが多い。1775年(安永4)1月江戸中村座上演《色模様青柳曾我》の二番目大切《垣衣恋写絵(しのぶぐさこいのうつしえ)》が原曲で,初世中村仲蔵が主役の大日坊を踊った。このとき同座した4世市川団蔵が1784年(天明4)5月大坂藤川菊松座(角の芝居)で《隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)》の法界坊に主役を変えて上演。

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大辞林 第三版の解説

ふたおもて【双面】

浄瑠璃・歌舞伎舞踊の趣向。全く同じ姿形の二人の人物が現れ周囲を惑わすが、のち一方が変化の正体を現すというもの。「隅田川続俤ごにちのおもかげ」(通称、法界坊)の終幕の所作事が有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

双面
ふたおもて

歌舞伎(かぶき)演出の一技法。亡霊が、恨む相手の恋人とまったく同じ扮装(ふんそう)で現れて周囲を惑わし、最後に正体を現す形式をいう。謡曲『二人静(ふたりしずか)』、近松門左衛門の浄瑠璃(じょうるり)『赤染衛門栄花(あかぞめえもんえいが)物語』以来、多くの戯曲に扱われたが、とくに舞踊では江戸中期以降「双面物」とよばれる一系列を生んだ。その代表作は、『隅田川続俤(ごにちのおもかげ)』(法界坊)の大切(おおぎり)舞踊劇としてつくられた常磐津(ときわず)『両面月姿絵(ふたおもてつきのすがたえ)』(1798)で、殺された法界坊と野分(のわけ)姫の二つの霊が合体し、それぞれ恋するおくみ・松若に執念を表すもの。現在では『双面水照月(みずにてるつき)』の名題(なだい)で上演され、普通、「双面」といえばこれをさすほどで、常磐津舞踊の名作に数えられている。ほかに『隅田川花御所染(はなのごしょぞめ)』(女清玄(おんなせいげん)、1814)の大切『都鳥名所渡(みやこどりめいしょのわたし)』(二人松若)、『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』(1829)の大切『道成寺思恋曲者(こいはくせもの)』(双面道成寺)なども同様の趣向である。[松井俊諭]

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世界大百科事典内の双面の言及

【隅田川続俤】より

…またこの人気を支えている要素の一つに,大切浄瑠璃所作事《垣衣恋写絵(しのぶぐさこいのうつしえ)》がある。これは《双面》《売》《法界坊》とも通称される舞踊劇で,主人公法界坊に清玄の性格も加わり変化に富み,狂言と離れて舞踊会でも頻繁に上演されている。隅田川物【目代 清】。…

※「双面」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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