日本大百科全書(ニッポニカ) 「取引所税」の意味・わかりやすい解説
取引所税
とりひきじょぜい
取引所税法(大正3年法律第23号)に基づいて課される国税であったが、1999年(平成11)4月に廃止された。流通税の一種であり、当初は取引所営業税と取引税との二本立てであったが、1940年(昭和15)の改正で取引所特別税と取引税との二本立てとなった。取引所特別税は、売買手数料収入金額を課税標準とし、その税率は100分の12である。取引税は、課税売買取引の売買各約定金高を課税標準とし、地方債証券または社債券の売買取引の場合には1万分の1、有価証券の売買取引の場合には1万分の20、商品の売買取引の場合にはその種類によって1万分の1.25と1万分の2.5の税率が適用された。取引所特別税の納税義務者は、会員組織以外の取引所(現在は存在しない)であり、課税対象となる売買手数料を徴収する者である。取引税の納税義務者は、取引所の取引員(現在は存在しない)または会員であって、課税対象となるべき売買取引をなす者である。
第二次世界大戦後における取引所の機能の変化に伴い、証券取引については1948年(昭和23)の証券取引法(現、金融商品取引法)により、商品取引については1950年の商品取引所法(現、商品先物取引法)により、すべて会員組織となったから、取引所特別税は空文化した。取引所税の収入は、商品の売買取引に対するもののみであり、その額は小さく、廃止前の1998年度(平成10)には190億円で、国税総額の0.04%にとどまった。1999年4月に取引所税は廃止された。
[林 正寿]