取持つ(読み)トリモツ

デジタル大辞泉 「取持つ」の意味・読み・例文・類語

とり‐も・つ【取(り)持つ】

[動タ五(四)]
両者の間に立って事がうまくいくように世話をする。仲立ちをする。「二人の間を―・つ」
相手の気持ちを損ねたり、座がしらけたりしないようにもてなす。「宴席を―・つ」「御機嫌を―・つ」
取りしきって事を行う。「政務を―・つ」
手に取って持つ。
「―・ちてわが二人見し…つきの木」〈・二一〇〉
[類語]橋渡し仲立ち仲介媒介取り次ぐ介する斡旋あっせん周旋紹介仲買媒酌お節介仲裁調停架け橋渡りを付ける引き合わせる中に立つ間に立つ取り成す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「取持つ」の意味・読み・例文・類語

とり‐も・つ【取持・執持】

  1. 〘 他動詞 タ行五(四) 〙
  2. 手に取って持つ。手に握る。
    1. [初出の実例]「皮鞋(みくつ)の毱(まり)の随(まま)に脱(ぬ)け落(お)つるを候(まも)りて掌(たなこころ)の中に取置(トリモチ)て前(すす)みて」(出典:日本書紀(720)皇極三年正月(北野本南北朝期訓))
  3. 身に引きうけてとり行なう。とりしきってする。責任をもって政務などにあたる。
    1. [初出の実例]「大君の 命(みこと)かしこみ 食(を)す国の こと登理毛知(トリモチ)て」(出典:万葉集(8C後)一七・四〇〇八)
  4. 双方の間に立ってとりなす。なかだちをする。周旋する。
    1. [初出の実例]「かねてより宣旨に従へりしつは物どもを、忍びて召す。源中納言具行とりもちて事行ひけり」(出典:増鏡(1368‐76頃)一五)
  5. 引き受けて世話をする。もてなしをする。接待する。
    1. [初出の実例]「物くはせいとほしがり、その事となく思ひたるに、まつはれ追従し、とり持てまどふ」(出典:能因本枕(10C終)三〇六)
  6. ある考えをしっかり心にいだく。執着する。
    1. [初出の実例]「宮もあやにくにとりもちて、責め給しかば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)

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