債権者が債務の弁済として金銭・有価証券または物品を受領したときに,その証拠として弁済者に交付する文書のこと。弁済者にはその交付を請求する権利がある(民法486条)。受領した物が金銭または有価証券のときには領収書(領収証),物品のときには受取または受取書(受取証)と取引上呼ばれることが多いが,その法律上の性格はいずれも受取証書である。商店から品物を購入したときに発行されるレシートも同様である。受取証書には定式はないが,通常は受領した金額または受領物の内容,それを受領した旨の意思表示,受領日,債権者の名称が記載される。金銭の受領証には印紙税法によって,印紙を貼付することが義務づけられているが,印紙がない受取書も私法上の効力は変わらない。注意を要するのは,受取証書の持参人は法律上特別な取扱いを受けることである。すなわち,債権者が代理人等に受取証書を交付し,その者が弁済者から受取証書と引換えに弁済を受けることがしばしば行われているが,このような受取証書の持参人は原則として弁済を受ける正当な権限を有するものとみなされる(民法480条)。そこで,たとえ持参人が真実はその受取証書を路上で拾得するなどして弁済を受領する正当な権限がなかったとしても,弁済者の善意・無過失によるその者への弁済は法律上有効なものとして取り扱われる。
執筆者:栗田 哲男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
債権者が債務の弁済を受けたことを証明するため債務者に交付する証書。受取書、受取証、領収書、あるいはレシートreceiptなどともよばれる。特別な方式はないが、実際上、日付・目的物・相手方の表示、受領の文言(もんごん)、受取人の署名などが必要とされる。弁済をした者は、弁済を受けた者に対して、弁済と引き換えに受取証書の交付を請求することができる(民法486条)。受取証書は債権消滅の証拠となる。なお、受取証書には収入印紙を貼(は)って債権者が消印することになっているが(印紙税法2条・8条)、これに違反した場合は罰金または科料に処せられるだけで(同法25条1号)、受取証書の証拠力はなくならない。
[高橋康之・野澤正充]
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