古今要覧稿(読み)ここんようらんこう

精選版 日本国語大辞典 「古今要覧稿」の意味・読み・例文・類語

ここんようらんこう ココンエウランカウ【古今要覧稿】

江戸時代の類書。五六〇巻。屋代弘賢編。文政四年(一八二一)から天保一三年(一八四二)にかけて成立幕命弘賢が総判となり、二二年間にわたって調進呈上した。自然、社会、人文の諸事項を、神祇姓氏、時令、地理草木人事などに分類細分して、その起原、沿革古今文献をあげて考証解説する。質量ともに近世の類書を代表する業績

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デジタル大辞泉 「古今要覧稿」の意味・読み・例文・類語

ここんようらんこう〔ココンエウランカウ〕【古今要覧稿】

江戸後期の類書。560巻。幕命により屋代弘賢編集。文政4~天保13年(1821~42)成立。自然・社会・人文の諸事項を分類し、その起源歴史などを古今の文献をあげて考証解説したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古今要覧稿」の意味・わかりやすい解説

古今要覧稿
ここんようらんこう

類書。屋代弘賢(やしろひろかた)編。560巻。1821年(文政4)に幕府の命によって全1000巻の予定で編纂(へんさん)を開始、1842年(天保13)までに560巻を調進したが、弘賢没後は編纂が中絶した。1905~1907年(明治38~40)にかけて刊行された。事項は神祇(じんぎ)・姓氏・時令・地理など20部門別に意義分類して、その起源や沿革などに関してまず総説を述べ、古文献の記述本題にちなむ詩歌を引用し、別名などを示す。引用が豊富でしかも詳しい。日本初の本格的な類書といえよう。

[沖森卓也]


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改訂新版 世界大百科事典 「古今要覧稿」の意味・わかりやすい解説

古今要覧稿 (ここんようらんこう)

諸事項を部門別にし,解説・考証を加えた書。580巻。1821年(文政4)幕府の命により屋代弘賢(ひろかた)が中心となり,巻数およそ1000巻の予定で編集を進めたが,その死により未完成に終わる。刊本の国書刊行会本では巻一神祇・姓氏・時令,巻二地理・暦占・歳時・器財上,巻三器財下・冠服・装束・政事・雑芸,巻四草木上,巻五草木下,巻六人事・病痾・禽獣・虫介・魚介・飲食・菜蔬・雑の20部6巻にまとめられている。内閣文庫,国立国会図書館などに写本としても伝えられている。
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世界大百科事典(旧版)内の古今要覧稿の言及

【百科事典】より

…他方,古典研究が盛んになると,日本の古典や歴史の世界を総合的にとらえようとする関心が高まり,18世紀中期に山岡浚明(まつあけ)の《類聚名物考》346巻が作られた。こうした関心は国学の発展を促したが,19世紀の前期には,屋代弘賢(ひろかた)が幕府の命を受けて《古今要覧稿》の編纂に着手した。この書は近世最大の百科事典で,内容もよく整っているが,弘賢の死により1000巻の計画は560巻で中絶した。…

【ラン(蘭)】より

…とくに文政年間に発行された水野忠敬の《草木錦葉集》(1826)は全般の植物にわたる柄物の大集成として著名であり,ランも各所にとりあげられている。明治になり,西欧の文化が流入するにおよんで,皇室をはじめ政治家や豪商などが洋ランの本格的な培養に取り組みはじめたころから,東洋ランも文人墨客を主として趣味者をひろげ,《剣蘭花鏡集》や《古今要覧稿》などに色刷りのランの絵がみられるようになった。明治の末期になると,シュンランの柄物が名品として世に発表され,カンランも優雅な品位を鉢植えにして産地を中心に愛好され,この時代に東洋ランの趣味が洗練された姿で定着したのである。…

※「古今要覧稿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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