翻訳|librarian
図書館の専門的事務に従事する職員。1906年(明治39)、「公立図書館ニ館長司書及書記ヲ置クコトヲ得」と「図書館令」第6条が改正され、司書が法令上、初めて明記された。1933年(昭和8)の改正で、「図書館ニハ館長並ニ相当員数ノ司書及書記ヲ置クベシ」と規定され、そして37年、第1回司書検定試験が行われた。1950年(昭和25)の「図書館法」では、司書は図書館の専門的事務に従事する、司書補は司書の職務を助ける、と規定されている。全国の公共図書館職員数1万4070人のうち、専任の司書・司書補は7028人である(2006)。
司書となる資格は、(1)大学または高等専門学校の卒業者で、大学が文部科学大臣の委嘱を受けて行う司書の講習を修了した者、(2)大学卒業者で、大学において図書館に関する科目を履修した者、(3)3年以上司書補として勤務し、司書の講習を修了した者、となっている。
司書補は、(1)司書の資格を有する者、(2)高等学校卒業者または高等専門学校第3学年修了者で、大学が文部科学大臣の委嘱を受けて行う司書補の講習を修了した者である。
(1)総務(図書館の管理、運営)、(2)整理(図書館資料の選択・収集、受入れ・払出し、分類、目録作成、配架)、(3)奉仕(資料の閲覧・貸出し、レファレンス、移動図書館、児童奉仕など)の三つに分けられる。
その職務を遂行するうえで、留意すべきことは、図書館の資料収集・資料提供の自由を守り、資料を理解する努力をつねに怠らず、利用者の多様な要求にこたえられる知識・技能をもち、利用者を差別せず、その秘密を守ることなどである。
学校図書館には、専門的職務をつかさどらせるため、司書教諭を置かなければならない(学校図書館法5条)。1999年の文部省(現文部科学省)の学校基本調査によれば、司書教諭として教育委員会から正式に発令されている者は全国で574人にすぎなかったが、「学校図書館法の一部を改正する法律」(1997)により、2003年より12学級以上の規模の学校には司書教諭を置くことが義務づけられたため、司書教諭は2万3134人(2006)に増加した。
[茂木幸雄]
『図書館問題研究会編『図書館用語辞典』(1982・角川書店)』▽『根本彰監修・堀川照代・中村百合子編著『インターネット時代の学校図書館――司書・司書教諭のための「情報」入門』(2003・東京電機大学出版局)』▽『全国学校図書館協議会編・刊『これからの学校図書館と学校司書の役割――配置促進と法制化に向けて』(2005)』▽『全国学校図書館協議会編・刊『人とメディアをつなぐ学校司書のしごと』(2006)』
出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
図書館において書物をはじめとする各種情報(文献資料,マイクロ資料等)の整理・処理にあたり,これを広く利用者に供することを仕事とする職業。書物の所蔵,利用が王侯貴族および聖職者など特権階級に限られていた時代には,その書物の管理に当たる司書の役割も,おのずから学問の研究者,愛好者の兼ねるところであった。哲学者ヒューム,ライプニッツ,言語学者J.グリム,文人ゲーテも司書を経験している。しかし19世紀半ば以降,近代的な公共図書館が欧米において出現するようになると,図書の整理,貸出し業務も多忙となり,専業として図書と利用者のとりもち役としての司書の養成が必要となり,1887年コロンビア大学に図書館学校が併設され司書の本格的な教育がはじまる。日本では1903年私立大橋図書館で司書講習が行われたのがはじまりである。また文部省は,21年図書館教習所の名で司書教育を開始し,44年戦局苛烈のため一時中断したが,49年図書館職員養成所の名で復活し,64年には図書館短期大学となり,これが母体となって,80年筑波に図書館情報大学(現,筑波大学図書館情報専門学群)が発足した。他方慶応大学には1951年ジャパン・ライブラリー・スクールがアメリカ図書館人の援助のもとに開講した。文部省委嘱の司書講習のほうは1950年にはじまり,今日鶴見大学,大正大学をはじめとして,19単位約2ヵ月の講習で司書資格が得られるようになっている。その他国公私立の大学,短期大学約120校で,図書館学講座19単位以上が開講されている。なお,日本における厳密な意味での司書の資格,業務などは図書館法(1950公布,法律第118号)に定められており,また学校図書館の専門的職務である〈司書教諭〉については学校図書館法(1953公布,法律第185号)に規定がある。
→図書館
執筆者:小野 泰博
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