日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉備中央」の意味・わかりやすい解説
吉備中央(町)
きびちゅうおう
岡山県中央部、加賀郡(かがぐん)にある町。2004年(平成16)御津(みつ)郡加茂川町(かもがわちょう)と上房(じょうぼう)郡賀陽町(かようちょう)が合併して成立。この合併に伴い、加賀郡が新設された。町域は、吉備高原上に広がり、北部を旭(あさひ)川が、中部を宇甘(うかん)川が流れる。国道429号、484号が通じ、岡山自動車道の賀陽インターチェンジがある。「賀陽」という旧地名は、古代賀夜(かや)郡の豪族賀陽(かや)氏にちなむ。旧加茂郷の総社宮がある加茂市場(かもいちば)は古くからの中心地であった。
産業の中心は農業で、水稲のほか高原野菜、果樹、花卉(かき)の栽培、酪農、畜産などが盛ん。観光農園もつくられている。毎年10月第3日曜日に総社宮で行われる加茂大祭、約1か月間にわたって行われる吉川八幡(よしかわはちまん)宮の当番祭は県の重要無形民俗文化財。吉川八幡宮の本殿(室町時代)、妙本寺番神堂(江戸時代)は国指定重要文化財。南部の総社(そうじゃ)市との境には国指定名勝の豪渓(ごうけい)がある。造園家重森三玲(しげもりみれい)の出身地で、吉川には記念館と移築された茶室天籟庵(てんらいあん)がある。中部にある吉備高原都市は、過疎対策として県が構想、建設した。ほかに、国立吉備青少年自然の家、キャンプ場、スポーツ公園などがある。面積は268.78平方キロメートル、人口1万0886(2020)。
[編集部]