郵便法(昭和22年法律165号)に定める、郵便物の特殊取扱いの一種。郵便物の引受けから配達までの記録をし、送達の途中で亡失、または毀損(きそん)した場合、引受けの際申し出ておいた損害要償額の全部または一部が賠償される制度である。書留の取扱いは、1871年(明治4)7月の「金子入(きんすいり)書状」の取扱いに始まり、翌年1月に「別段書留郵便」制度ができた。現在は、現金を送る場合の「現金書留」と、宝石、貴金属、有価証券、貴重な資料など現金以外を対象とする「一般書留」に加え、送達途中の記録を省略して亡失等の場合は定額賠償とする「簡易書留」の取扱いが1971年(昭和46)に創設されている。現金書留は、郵便局で販売されている「現金封筒」を用いるが、これは1951年(昭和26)に新設されたもので、それ以前は「保険扱」「貨幣封入郵便」などと称されていた。
損害賠償は、書留を差し出すときに損害要償額を申し出、その額に応じた料金を支払うことが要件になっている。損害要償額は、現金書留では50万円まで、一般書留では500万円までである。料金は、現金書留では損害要償額が1万円まで420円、1万円を超えた場合は5000円増えるごとに設定され、一般書留では損害要償額が10万円まで420円、10万円を超えた場合は5万円増えるごとに設定されている。簡易書留は、損害賠償限度額が5万円までとされ、料金は通常郵便物の場合350円となっている。書留利用料金は、通常郵便物の料金に、前記書留料金をプラスしたものとなる。利用する郵便物を書留扱い(現金書留を除く)とするかしないかは自由であるが、引受時刻証明、配達証明、内容証明、特別送達とするものは、書留扱いとする必要がある。
[小林正義]
『山口修編『郵便博物館』(1987・ぎょうせい)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…戦国時代には,〈急度(きつと)〉〈態(わざ)と〉などで始まるものもある。最末の〈書留め〉も公文のように〈如件(くだんのごとし)〉〈候也〉などで威勢を示すものもあるが,おおかたは〈恐々謹言〉などで終わり,後には〈頓首〉〈敬具〉〈かしく〉などとなる。近世初期には,本文の補遺,要約や,相手の安寧を祈る尚々書(なおなおがき)(追而書(おつてがき))は袖に書かれることが定型化し,書かれない場合には袖の空白に,〈已上(いじよう)〉〈以上〉などの文言を追記して,謀書を防止することも形式化している。…
…これらの局は,自動搬送設備で機械化されたメール・フローにしたがって大量の郵便物を処理するシステムを採用している。また1984年から書留通常郵便物にバーコード・ラベルを貼付して,送状の作成等を機械処理するシステムを全国導入した。小包の所在を直ちに調査できる小包追跡システムは88年,書留通常郵便物の情報システムは91年に実施された。…
※「書留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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