他人と第三者が取引する際に、自分の氏名や商号、免許などを貸し、登録や契約、営業などをさせること。借金やクレジットカードの契約をはじめ、国家資格や事業資格などにかかわるさまざまな名義貸し行為がある。医師や弁護士、建築士、不動産業者、証券などの名義をめぐってこれまで多くの事件が起こっている。名義貸しは違法となることがほとんどで、たとえば宅地建物取引業の資格のない者が名義を借りて営業した場合、無免許事業の禁止規定(宅地建物取引業法第12条第1項)に抵触し、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられる。
消費者金融やクレジットカード契約における名義貸しの問題が後を絶たず、詐欺行為などの被害に至るケースも少なくない。2012年(平成24)10月には、クレジットカード会社と加盟店契約を結んだ飲食店が風俗店に名義貸しをする事件が起きた。通常はカード加盟契約を結ぶことができない性風俗店に名義を貸し、その店の客の決済時に通常の2割増しの料金が請求されていた。調査が進むと、このカード決済によって得た少なくとも1億円以上の不当な利益が、暴力団資金となっていたことがわかり、暴力団の大物組員の逮捕に至った。この事件は解決をみたが、手口自体は、カード会社も利用された伝票上では名義貸しの実態を把握できないため、解決はむずかしいとされている。この事件以降も、具体的な防止策は講じられていない。
[編集部]
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