江戸前期の医家、本草(ほんぞう)家。肥前国(佐賀県)神崎(かんざき)生まれ。幼名玄松。字(あざな)は以順、素柏。号は霊蘭。幼時、父と長崎に移住、天文・本草を学び、長じて漢方を独学、奥義を究め、霊蘭(れいらん)堂を開設し、名声はあがった。肥前平田侯からの侍医の招きを固辞。1654年(承応3)、通詞を介して長崎在留の蘭医ステビンより西洋医術の聞き書き『紅毛外科秘要』13巻をまとめた。また自然学概説書『乾坤(けんこん)弁説』を著した。1658年(万治1)京都に上り、朝廷の信任厚く良医の第一人と称され、貝原益軒ら門人も多数を数える。1671年(寛文11)の著『庖厨備用倭名(ほうちゅうびようわみょう)本草』13巻は加賀藩家老の依頼でまとめた藩主の食膳(しょくぜん)用の参考文献で、動植物食品400種を和名で記し、薬物の起源、名実の異同を論述した江戸期最初の本草書といわれる。没後刊行された。
[根本曽代子]
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