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和尚と小僧 おしょうとこぞう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

和尚と小僧
おしょうとこぞう

小僧がもちまえの知力により,和尚をやりこめることをテーマにもつ笑話の総称。昔話の採集において多く聞ける話の一つで,およそ 30種の話型がある。日本の昔話分類では,柳田国男は,話の発生的立場から神童譚の零落として完形昔話 (笑話は派生昔話に入る) に入れ,関敬吾は,話自体の内容から笑話のなかに分類している。この話の類話は『沙石集』『醒睡笑』などにもみられ,各地への伝播に際し,これらの書物の介在も考えられる。ヨーロッパにおいても同種の笑話群が認められている。

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世界大百科事典 第2版の解説

おしょうとこぞう【和尚と小僧】

昔話。和尚と小僧を主人公にした笑話の総称。多くの場合小僧の機知もしくは頓智によって,和尚の失態が笑いの対象になる。したがって,両者の対立,葛藤を主題にした笑話といってもよい。中世以降,日本にはこの種の話がとりわけ発達した。《沙石集》《雑談(ぞうだん)集》にはすでにその一部がみえる。また後崇光院の〈駿牛絵詞紙背断簡にも記されている。これからして,身分の上下を問わずもてはやされたとみられる。《醒睡笑》には,類話がいくつも掲載されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

和尚と小僧
おしょうとこぞう

昔話。目下の者が目上の人を知恵でやりこめることを主題にした一群の笑話。いわゆる頓知話(とんちばなし)の部類で、和尚と小僧の話になっている。もともと寺院の生活のなかで発達した笑話で、寺僧の唱導によって、民衆のなかに広まったものであろう。鎌倉初期の『宇治拾遺(うじしゅうい)物語』には、寺の児(ちご)の知略を主題にする説話が現れ、無住(むじゅう)法師の『沙石(しゃせき)集』(1283)や『雑談(ぞうだん)集』(1305)には、すでに「和尚と小僧」のおもな例話がみえている。後崇光院(ごすこういん)書写の『駿牛絵詞(すんぎゅうえことば)』紙背文書(もんじょ)や、『醒睡笑(せいすいしょう)』(1628)にも散見し、室町期にはかなり一般に知られていたことがわかる。例話の主題は、和尚のけち、和尚の破戒、和尚の教えなどがある。『沙石集』にある「飴(あめ)は毒」は和尚のけちを描く。子供が食べると毒だといって、和尚が一人で飴を食う。和尚の留守中に、小僧は飴を食べ、和尚秘蔵の水甕(みずがめ)を割る。和尚が帰ると、水甕を割ったので死のうと思って飴を食べたが死なないといって泣く。「卵は白茄子(しろなす)」は、寺僧の破戒譚である。和尚が鶏卵をゆでて食べ、小僧に白茄子と教える。小僧が鶏の声を聞き、白茄子の親が鳴いているという。「鮎(あゆ)は剃刀(かみそり)」もこの同類である。和尚が鮎を剃刀と称して隠して食べる。川を渡るとき、小僧が鮎を見て、和尚に剃刀が泳いでいるという。この2例は『雑談集』にみえる。破戒譚には、女犯(にょぼん)を扱った性的な笑話もある。「馬の落とし物」は、和尚の教えを一ひねりひねった頓知話の例である。和尚が馬に乗って外出する。頭巾(ずきん)を落とすが、小僧が拾わない。落としたものは拾えと教えると、小僧は馬の糞を拾う。これは『駿牛絵詞』紙背文書にある。江戸期の一休和尚の頓知話は、この種の笑話を、文学的に集大成したものである。「和尚と小僧」に相当する笑話群は朝鮮や中国にもあり、「飴は毒」のように、具体的に類話が分布している場合もある。ヨーロッパにも「牧師と寺男」の一群の笑話がある。寺院や教会を預かる僧職の主従は、社会的にも笑話のかっこうの素材であった。[小島瓔

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