六訂版 家庭医学大全科 「唾液腺炎、耳下腺炎」の解説
唾液腺炎、耳下腺炎
だえきせんえん、じかせんえん
Sialadenitis, Parotitis
(口・あごの病気)
どんな病気か・原因は何か
唾液腺炎には、
●
唾液分泌が低下すると口腔の常在菌(細菌)が導管(唾液腺の腺房から唾液を口腔内に導く管)より侵入し、化膿性唾液腺炎となります。唾液腺に炎症が生じると痛みを伴う
①耳下腺炎:耳前部皮膚の腫脹および
②顎下腺炎:口底部の腫脹または顎下部の腫脹ならびに自発痛(何もしなくても起きる痛み)が現れます。口底部または顎下部の圧迫によって舌下部の導管開口部から排膿がみられます。
③小唾液腺炎:小唾液腺(口唇腺、口蓋腺、頬腺、舌腺など)に化膿性唾液腺炎が起こると、小唾液腺が存在する部位の口腔粘膜の腫脹、発赤ならびに自発痛が現れます。
●流行性耳下腺炎
過労や衰弱など全身の抵抗力が弱まった状態で多く発症します。「おたふくかぜ」と通称されます。
ムンプスウイルスによる伝染性疾患で、感染者の唾液の
症状は発熱および頭痛、四肢の筋肉痛などの初期症状に続いて、耳下腺部の痛みと腫脹が現れます。両側の耳下腺の腫れによって「おたふく」の顔になります。発症から約7~10日で軽快しますが、
成人では、小児に比べ症状が重くなる傾向があります。
治療の方法
化膿性唾液腺炎では抗菌薬(抗生物質など)ならびに消炎鎮痛薬で治療します。炎症部に
ウイルス性唾液腺炎では、対症療法が主であり、鎮痛と解熱に努め、二次的な細菌感染の予防のために抗菌薬による治療が行われます。
近藤 壽郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報