ゲーム理論における非協力非ゼロ和2人ゲームの例として考えられたもので,ある事件の共犯であることが確実な容疑者を別件で逮捕し,別々の部屋で検事が2人に〈黙秘するか自白するか二つの方法があって,自白すれば自白した者の刑を軽くする〉と告げたとする。そして,もし一方が自白し,他方が黙秘したとすると,犯罪の事実が確定し,自白した者は減刑されて1年の刑を受け,他方は10年の刑を受ける。2人とも黙秘すると,2人とも逮捕された別件の罪で2年の刑を受け,2人とも自白すると5年の刑を受ける。この三つのケースの結果に対して,2人は次のような評価値(効用)をもつとする。
ここで例えば(8,0)というのは,自白した者の評価が8,黙秘した者の評価が0であることを示す。
ここで2人の囚人は黙秘すべきか自白すべきかのジレンマに立たされる。2人の間が完全に不信の関係にあれば,2人とも自白するであろうし,何らかの信頼関係にあれば,2人とも黙秘するであろう。どのような関係にあるかはそれまでの2人の行動の歴史によって定まるもので,一般にはいずれともきめかねる場合が多い。このような例は社会のさまざまな分野においてみられ,社会的関係のもつジレンマを示すものとして広く応用されている。
執筆者:鈴木 光男
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[協調,参入障壁と独占禁止法]
寡占の第3の問題は,企業どうしが結託することによって独占利潤を分け合おうとするインセンティブ(誘因)が存在することである。表2はゲーム理論で囚人のジレンマと呼ばれるケースである。このとき両企業は,相手の企業の行動に確信をもつことができなければ低価格を選ぶだろう。…
※「囚人のジレンマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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