生(なま)のままの草や木の葉などを肥料として土の中に鋤(す)き込むもので、昔から利用されてきた。鋤き込まれた植物体は、土壌中で微生物により分解されて養分が有効化し、作物に吸収、利用される。自然に自生している草を利用する野草緑肥と、レンゲなどのように水田の裏作に栽培し鋤き込んで利用する栽培緑肥とがある。明治初期までは緑肥の主体は野草緑肥で、栽培緑肥が盛んに用いられるようになったのは大正・昭和の時代になってからである。現在ではこの栽培されたものをさす。緑肥に使われる植物には多くの種類があるが、レンゲ、クローバー、青刈りダイズなどマメ科の作物を利用すると窒素の補給となり窒素肥料を節減できる。また、有機物の補給の目的ではトウモロコシ、ソルガムなど生育の旺盛(おうせい)な大きな作物が利用される。また、マリーゴールドは線虫対策となる。一時は肥料代の節約から緑肥としてレンゲ、青刈りダイズの栽培が盛んであったが、第二次世界大戦後は販売肥料の生産回復によって急激に減少した。しかし、土壌生産力を維持し、病気を回避する有機農業で緑肥はふたたび見直されている。使用に当たっては緑肥作物を土に鋤き込んでから定植までの期間をあけて、緑肥作物を十分に分解させる必要がある。
[小山雄生]
『橋爪健著『緑肥を使いこなす』(1995・農山漁村文化協会)』
若草は窒素,リン,カリウムなどの肥料成分を比較的多く含むので,刈り取って田畑にすきこみ,肥料として古くから用いられてきた。これを緑肥というが,江戸時代からは肥料に適した植物を選んで栽培する栽培緑肥がしだいに多くなった。栽培緑肥にはレンゲソウ,アルファルファ,青刈りダイズ,コモンベッチなどのマメ科植物が多い。マメ科植物は窒素肥料がなくても窒素固定によって空中窒素を利用して育ち,また体内の窒素含有量も多く,農地にすきこまれると容易に分解されて良質な窒素肥料になるなど経済的な利点もある。レンゲソウは湿地や寒さに強いので稲刈り後の水田で栽培され,翌年春先にすきこまれる。畑にはコモンベッチが使われる。明治時代以降,政府が奨励したこともあって緑肥の利用は年々盛んになったが,第2次大戦後は化学肥料の普及と農村労働力の低下に伴い緑肥利用は激減し,1965年以降は事実上姿を消した。
執筆者:茅野 充男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新